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誰がために…渋野日向子が流した涙のわけ

◇国内女子◇大王製紙エリエールレディスオープン 最終日(24日)◇エリエールGC松山(愛媛県)◇6580yd(パー72)

渋野日向子はプレーオフに備えた練習グリーンで優勝を知った。「(日米5勝目で)これほど誰かのために、勝ちたいと思ったことはない」。感謝の念が涙に変わった。一瞬、感傷的になったが、すぐに両指でぬぐい「やっちゃった~」と笑わせた。

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最終18番で、突風が吹き荒れた。決めれば優勝を確実にする6mのバーディパットを珍しく1m弱ショートした。「軽井沢で3パットしちゃったから」

優勝した8月の海外メジャー「全英女子オープン」から2週後の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」。最終日最終ホールで5mから3パットを喫し、3位に終わった。このとき、渋野は「自滅。手が震えた」と言った。誰もがメジャー覇者の重圧からだ、と考えた。

だが、違った。「これを決めたら、早織さんと初優勝できると思った。そしたら緊張しすぎて」。キャディの定由早織さん(27)への思いだった。

ツアー出場権をかけた昨年末の予選会から支えられた。「ずっと一緒にやってきてくれた。でも優勝がなかった」。軽井沢の後の「デサントレディース」を含め、前週までの勝利は、全て別のキャディだった。

青木翔コーチからは「今年のうちに早織キャディと“初優勝”しなさい」と指示を受けていた。今回やっと、実現できた。「最高の贈り物は優勝しかないと思っていた。1年間たくさん迷惑をかけてきたから。早織さんが泣いていて」。それを見て、泣いた。

そして青木コーチ。「心の支え」と表現する師は、最終日に駆け付けた。今週、帯同する予定はなかった。前日LINEで「来ないんですか?」と聞いた。前週の予選落ち後も、すぐに連絡していた。重圧から攻め切れない葛藤を相談した。誰よりも感謝し信頼する、理解者だ。

「自分がきょう、どういうプレーをするか、見てもらって今後に生かさないといけない。あとは(青木さんが)来てくれるだけで、安心する」。盛り上がる女王争いを超えて、ファンやチームに見せたかったものがある。それは「1年間で自分の成長した姿」。みんなのために頂点に立った。(愛媛県松山市/林洋平)

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