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宮里優作×岩田寛×清田太一郎 同級生トーク
祝・賞金王! 宮里優作×岩田寛×清田太一郎 同級生トーク(前編)

2017年の日本男子ツアーは、宮里優作が最終戦「日本シリーズJTカップ」で今季4勝目を飾り、逆転で初の賞金王に輝いた。アマチュア時代にあらゆるタイトルを手にしながら、鳴り物入りで飛び込んだプロの世界では初勝利を飾るまでに苦節11年。37歳で初のマネーキング戴冠は史上3番目の年長記録となった。険しい道を歩み“日本一”にたどり着いた彼には、かけがえのない学生時代の同級生がいる。同じ東北福祉大出身の岩田寛、日本体育大出身の清田太一郎。プロ入り後も長く、互いに切磋琢磨してきた彼らは、師走の束の間のオフに都内某所に集まった。同世代の3人による“友情トーク”を前後編でお届けします。(聞き手・構成/桂川洋一)

―宮里選手、賞金王戴冠おめでとうございます。最終戦での見事な逆転劇でした。
宮里 ありがとうございます。最後の試合も、自分に期待はせずにプレーしました。(賞金レースは)小平智くんと争いましたけど、彼がどうこうというのは関係なく、自分のことだけに集中していました。

―同級生から初めて賞金王が出ました。
清田 シーズンの終盤は、優作くんに良い流れがあると思いましたね。智くんは「ダンロップフェニックス」で棄権したりして…。タイトルを「意識しない」といえども、意識するのが人間。そこまで来たら、誰もが一番になりたいのがプレーヤーではないかなと思う。最後は長く生きている方の経験がモノを言うかなって。

―岩田選手は小平選手とも親交が深い。当時の心境は?
清田 正直に言えよ、正直に。「2人とも応援していた」とかじゃなくて。
宮里 どっちもどっちだよな?(笑)
岩田 ……理想は、とにかく(マスターズの出場権が付与される年末の世界ランキング)50位以内に2人が入ればいいなと。賞金王についてはあんまり…。取りたい方が取れたらいいなって。優作は最高の形で取った。確か優作は「(賞金王になった姿を)親に見せたい」みたいなことを言っていた。あれ、夢で見たような気もするな。言ったよね?
宮里 うん、言った(笑)
清田 僕は最終日、テレビで見てました。(録画中継を)生で見たかったので、そのときは“ヤフーニュース”の速報は見ないようにして。
岩田 僕は新幹線の中にいたんで、ずっと携帯の速報で。本人は集中していたでしょうけど、前半のスコアで客観的には『決まったな。スゲーな』と思った。
宮里 中盤は全然(決まったとは)思えなかったけどね。『このコースは何打差あっても足らないな』って。痛い目にあってきたから。
岩田 プレーヤーは安心しないんじゃないですか。100打差くらいないと。
宮里 やっぱり“さし切らない”と。相手があきらめるくらいに。17番で6打差になって、やっと行けるかな…と思えた。18番(パー3)でティショットがシャンクしてOBに飛んでいかなければ大丈夫だと(笑)。

―12月中旬、アジアンツアー「インドネシアマスターズ」で4位に入り、年末の世界ランキングで50位以内、来年の「マスターズ」出場も決めました。
宮里 まだ全然、実感はわかない。(オーガスタナショナルGCから)招待状が届かないと信じられないよ。48位だったら「イエーイ!」ってなってるけど。ギリギリの50位だっていうから…。
岩田 (試合の様子は)気にして見ていました。最終日の途中、3位で確定かなと思ったり、そうしたら6位くらいになったり。また見たら4位になって。最後18番はパー5だから、バーディを取って3位だと思ったらパーだった。
宮里 雷がすごくて、もう上がり3ホールで競技委員が中断のホーンを構えてたの。だから「急げ」ってあたふたしていた。そうしたら、雨雲が通り過ぎて、油断したのね。フェアウェイからのセカンドショットを右のバンカーに突っ込んだよ。

―清田選手にとっては過去に回ったことのあるコース(ロイヤルジャカルタ)だった
清田 2008年でしたね。かるーく、打ちのめされましたよ(笑)
宮里 僕は今回が初めてで必死でした。17週連続試合の最後。フィーリングがドライアウト(研ぎ澄まされた状態)気味で、体調管理だけしておけばいいという感じだった。ただ、プロアマが火曜日、水曜日と2日間入ったのはちょっときつかったかな。

―幼い頃のマスターズへの憧れは
宮里 小学校の時にPGAツアーの選手のトレーディングカードを持っていたんです。いろんな選手、ジャンボさんのカードもあった。メジャーを勝った選手は金色でね。それを部屋中に貼っていた。
清田 小さいころからマスターズはもちろん大好きだったけれど、カードは知らなかったなあ…。
岩田 僕も全然わかんない。
宮里 クリスマスプレゼントにサンタさんからもらって。願い事を書いていたんでしょうね。兄貴(宮里聖志)は違ったかな。実家にはまだ飾ってあるよ。色褪せちゃったけど。(今ではぽっちゃり体形の)クレイグ・パリーなんか、すんごい細い。沖縄では当時、テレビで全米、全英オープンなんかはあまり放送がなくて。でもマスターズはやっていた。
岩田 ああ、放送局が少ないから。
宮里 そうそう。リアルタイムで夜中まで、朝早く起きてみるのはマスターズだけだった。芝が青々として…。ツツジだけは沖縄と一緒だなと思っていた。ラリー・マイズが好きだったんで、チップインでグレッグ・ノーマンをやっつけた年(1987年)をすごく覚えている。あとは…イアン・ウーズナム、ちっちゃい体で強かった。でも負けちゃったけど、ノーマンはカッコよかったなあ。
清田 ノーマンが逆転負けした試合は印象深い(1996年/ニック・ファルドが優勝)。あれで一気に、ファルドが嫌いになった(笑)。本当にノーマンに勝ってほしかったなあ。
岩田 でも当時、みんなファルドのスイングの真似をしたんでしょ? 僕はまだゴルフを始めて間もなかった。
宮里 スケボーをやっていた時の後だ(笑) (※編注:岩田は中学時代に野球部に在籍しながら、スケートボードにも熱中。その後、ゴルフ練習場を運営する父に後押しされ、本格的にゴルフに打ち込んだ)
岩田 でも、マスターズの都市伝説みたいなのは知ってる。ウーズナムが勝った時は、サンデーバックナインのピン位置は奥ばかりだから、前半は後半に備えてわざと奥に打っていたとか。ホセ・マリア・オラサバルも病み上がりで勝ったとかね。

宮里は今季、在任中の選手会長としては初めて賞金王のタイトルを獲得した。コース内外でツアーの“顔”としての役割を果たしながら、5月までに2勝をマーク。マネーレースを引っ張る存在となった。ただし、シーズン中盤に最も注目を集めたのは、宮里藍の引退劇。2003年秋、実妹は高校生アマチュアとしてプロの試合を制し、2004年3月の開幕戦でも優勝。きょうだいが突如、国民的スターになった優作を、同世代の仲間はどう見ていたのか。そして、当の本人は何を思っていたのか。

岩田 ダイキン、見てたな。すげえって思った。(※2004年の開幕戦、沖縄での「ダイキンオーキッドレディス」で優作はキャディを務めた)
宮里 最初は冗談のつもりで「キャディがいなかったらやってあげるよ」って言ってたんだ。そうしたら、試合の1カ月くらい前に「お兄ちゃん、やってくれる?」って。僕もすでにプロだったから、あたふたしちゃって。初めての女子ツアーだったし。でも試合前、本人は調子が悪いと言っていたんだけど、練習場の様子を見たオレは親父(コーチの優さん)に「勝てる」って言っちゃったんだ。「今週、絶対に勝てる」って。ショットはあまり良くなかったけれど、パットがボコボコ入るんだから。
岩田 家族愛です。家族愛が宮里家はすばらしい。太一郎のところもそう。妹さんがマッチプレー(アマチュアの大会)で2位になったことがある。
清田 僕は大学4年の時に仙台に遊びに行って、優作と、東北高時代の藍ちゃんと一緒にゴルフをした。当時も印象深かったんですけど、2008年くらいのブリヂストンスポーツのイベントでのことが印象深い。もう超有名人だったのに、物腰が高校時代と変わらず、気さくに話してくれて。すごく感動した。

―当時の藍ちゃんフィーバーをどう思っていましたか?
岩田 あの時は何も思ってなかったけれど…最初は「優作の妹」と言われていた関係が、(藍が)勝ってから「藍ちゃんのお兄ちゃん」と呼ばれるようになった。今思えば、ストレスになったんじゃないかなって。
清田 正直言って、優作はちょっとかわいそうと思ったりもした。メディアでのイメージが強くなって、やっぱりある意味で(優作には)見えないプレッシャーもあったと思うんですよ。僕だったら考え込んじゃうかも。
宮里 うーん…僕はね、逆に鼻が高かったですよ。自分の妹がそうなると思わなかったから、本当に、率直にうれしかった。
清田 僕は器が小さいかな(笑)
宮里 それ以上に、あの頃、藍ちゃんは悩んでいたから。いろいろ話を聞く中で、僕にとっては心配の方が大きかった。(藍は)当時、本当にストレスが溜まっていて、頭に円形脱毛症が3つくらい出た時もあった。日本で勝てば勝つほど、増えていった。だから上に行けば行くほど心配で。
清田 それは知らなかったな…。
宮里 家族では「髪、生えてこーい」なんて言って、水をかけたりして冗談を言っていたけどね。今でこそ女子ゴルフ界も「藍ちゃん、藍ちゃん」というムードだけど、当時はなかなか受け入れてもらえなかった。
岩田 でも、今の女子ブームは間違いなく藍ちゃんから始まったはず。

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