苦悩の伊澤利光 心を揺さぶる唯一の存在は
ツアープレーヤーたちの“自信”<伊沢利光選手>
この夏、今季メジャー最終戦の全米プロと、世界ゴルフ選手権NECインビテーショナルに挑戦。それぞれ18位タイ、14位タイと「いまの調子なら普通にやってこのくらいかな、というようなごく平凡な成績。満足も、がっかりもしていない」。自己評価でも可もなく不可もなく、といった結果に終わった伊沢ですが、実は現地では、ひそかにその自信を深めるエピソードがありました。
NECインビテーショナルは、世界ランク50位までの選手とライダーカップ&プレジデンツカップの出場者と、大会が指定した限られたトーナメントの優勝者しか出場できない試合で、伊沢は今年の「日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップ」のチャンピオンの資格で切符を手に入れての参戦でした。
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世界のトップばかりが集うこの大舞台。その2日目終了後にひとりの男性が近づいてきて伊沢にむかって両手を広げ、こう言ったのです。
「今週、この大会でいちばん美しいスウィングをしているのは君だよ!」。
いきなりの賞賛の言葉に面食らいつつ「サンキュー」と笑顔で答えた伊沢。「あとで聞いたら、彼は現地では有名なプロコーチだったんです。彼の素性を知って、ますます嬉しくなりましたよ」
さらにスウィングを誉めてくれたのは、彼ひとりではありませんでした。
最終日の1番ティ。大会4日間、選手のスタートコールを務めていた紳士が、おもむろに近寄ってきて耳元でささやきました。
「君のスウィングはほんとうにすばらしい。君こそ今週のベストスウィンガーだと私は思うね!!」
何千人もの選手を、間近で見つめてきたスタートアナウンサーの言葉だけに「聞いた瞬間はほんとうに天にものぼる気持ち・・・(笑)
すっかり得意になってしまって、その日1日はいつもよりもほんの少し堂々とした気持ちでプレーできたような気がします」
大きな自信を手土産に、帰国の途についたのでした。
今週、約2ヶ月ぶりの参戦となる日本ツアーは、所属契約先の全日空が主催する「ANAオープン」。「ホスト試合で勝てたら、かっこいいですよねえ・・・!」と意気込みも十分。世界舞台でますます自信を深めて帰ってきた伊沢の活躍が、注目されます。
※日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。