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アマでもあふれる“プロ意識” 蝉川泰果「魅せるゴルフをしたい」

◇国内男子◇日本オープンゴルフ選手権競技 3日目(22日)◇三甲GCジャパンコース(兵庫)◇7178yd(パー70)

「狙わないの?」-。1オンチャレンジが可能だった9番パー4を前に、アマチュアの蝉川泰果(東北福祉大)は同組の杉浦悠太(日大)に冗談めかして声をかけた。

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狙える距離であることが大前提とはいえ、アゲンストの風を感じても迷わず3Wを振り抜いて1オン。イーグルで一気に流れを引き寄せると、後半に入って蝉川の組について歩くギャラリーは明らかに増えた。「そう言って、あした狙わなかったら恥ずかしいんですけど…」と笑って続ける。

「自分が小さいころは、アマチュアではできないようなプレーを見たいと思ってプロの試合を見ていた。見に来ている人を沸かせたい。自分ができる限りのプレー、アグレッシブなプレーを見せられれば、楽しく見てもらえるんじゃないかな、と。“ギャラリー目線”は常に意識して回っていますね」

父・佳明さんがプロを目指す息子にかけた言葉も少し独特だった。「プロゴルファーだって、芸能人と同じように“魅せる”ことも仕事のうち。試合中、たとえオレが体調を崩したと緊急の連絡が入っても、お前を見に来てくれるファンのことを思ってプレーしないとあかん」。注目されることが大好きな本人の明るいキャラクターに加え、プロ意識を刷り込まれるように育った。“魅せるゴルフをしたい”と思うようになったのも必然かもしれない。

蝉川にとって、ギャラリーを魅了するゴルフの原風景は名前の由来ともなったタイガー・ウッズのプレーであり、バッバ・ワトソンの「マスターズ」優勝(2012年)だという。「バッバがプレーオフで林からすごいフックを打ったんです。普段フェードしか打たないのに『ここまでフックさせられるんや…』って」。見ている側の予想もつかないショットで栄光を勝ち取るPGAツアー選手たちへの憧れはプレー中の思考にも大いに影響を与えている。

「僕には、ああいった大舞台でできる技術はまだまだ足りない、明日も魅せるゴルフをしたいですけど、できない部分はしっかり見極めていきます」。もちろん勝利に徹することを強調したが、9番の1オンイーグルの興奮は忘れがたい。「やっぱり9番のショットはアドレナリンが出て、一番楽しかったです。自分のプレーでお客さんを楽しませて、自分自身も楽しい。すごく楽しい“職業”だなって思います」。近づくプロ転向が待ちきれない様子で笑った。(兵庫県三木市/亀山泰宏)

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