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18番グリーンは「狙わない」 43歳・谷原秀人の野望はまだ海の向こうに

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日(5日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)

西日に照らされたグリーンには「絶対にのせない。届かないクラブで打つ」と決めていた。最終18番、谷原秀人は第1打を手前のラフに落とした。名物パー3のパッティングがいかに難しいかは過去12回の出場で嫌というほど知っている。3パットボギーでタイトルが手からこぼれ落ちたのが1年前。同じ轍は踏まない。「最終日のピンポジションは手前からアプローチをするのが一番パーを取りやすい」。後続との2打のリードを懸命に守り切った。

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単独首位スタートにも、出だし1番のボギーで優勝争いはいきなり混とんとした。同じ最終組を回った池村寛世がロングパットやチップでボールを次々とカップに沈めた一方で、谷原は流れが来るのを静かに待っていた。

2ボギーで迎えた後半13番、7mの軽いフックラインを読んでようやく初バーディ。「やっぱり(自分は)パターで救われる」。トップで並んで迎えた16番で今度は8m。大きなスライスラインを沈めてバーディにし、ボギーの池村に2打差をつけた。チャンスホールの17番(パー5)もしっかり取って「69」で通算12アンダー。今季2勝目でシーズンを締めくくり「最高のクリスマスと正月が来た」と笑った。

30人の精鋭ぞろいのフィールドで、年齢は48歳の片山晋呉に次ぐ43歳。2016年「日本プロ」以来の日本タイトル、賞金ランク4位でのフィニッシュは「まだまだ若い選手に立ち向かえる」という、また次の自信にもなる。

勝負強さの源は、キャリアを通じた挑戦の数々に他ならない。20代で米ツアーの高い壁にぶち当たり、30代で欧州ツアーでも同じ思いを味わった。それでもなお、谷原は「また欧州に行きたい」と言う。「外に行って、なかなか成績を出せない苦しさもあるけれど、常にうまい選手がいるところでやることで、自分自身が強くなれれば。日本にとどまるのは楽ですけど…、そういう人生をしたくない。常に、ちょっとでも上を目指して頑張りたい」

長男がこの夏に10歳になった。「三井住友VISA太平洋マスターズ」で5年ぶりの優勝を飾った11月、「なぜか恥ずかしがりながら喜んでくれた」のがうれしかった。「ゴルフを通じて『ちゃんと努力をすれば優勝できる。勉強にしろ、スポーツにしろ、努力をしないと100点は取れない』と伝えたくて」。愛息に向けたその言葉は、すべてのゴルファーにも響く。

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