全英オープンが中止 1945年以来
時間の止まった寮生活 金谷拓実/いまどうしてる?
海外メジャー「全英オープン」中止のニュースが飛び込んで来たのは、6日のことだった。在学中の東北福祉大がある宮城県仙台市で、金谷拓実はその事実を知った。「全英は延期だろうなって思っていて、中止にならないでくれって強く思っていたけど…。大変な状況なので仕方ないですね」とため息をついた。
昨年12月の「エミレーツ・オーストラリアオープン」で3位タイとなり、出場権を手にしていた。「今年一番、気持ちが入っていた」という大舞台も、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスを前にしては、諦めざるを得なかった。
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宮城県は政府から出された緊急事態宣言の対象地域に含まれていないものの、前週3日(金)に知事から外出自粛要請が出され、いまもその要請が続いている。今週から大学の部活動はすべて中止され、寮や構内の食堂も閉鎖されてしまったという。
「周りの部員もそうですけど、スーパーで買い物をして1~2週間分くらいの食べ物は用意しました。料理というか、(電子レンジで)チンですね(笑)」。大人数で出かけないことを条件に、近所に食事に出ることは許されているという。この日は、19時の寮の門限に間に合うように、外で食事を済ませて戻ってきていた。
上級生が引退した昨年12月からは、ゴルフ部キャプテンを任されている。かろうじて、寮のそばにあるアプローチ練習場を使うことは監督許可が下りていて、密集しないように少人数ずつ、時間を決めて使うのがいまできる唯一の練習だという。
「きょうも朝イチで2時間やって、あとはもう部屋ですね。時間があるから、本屋に行って勉強するものを買おうかなと思っています。英語の勉強もしたいし、普通に成功した人の本も読みたい」。とはいえ、本屋に行くのが不要不急の用事かと問われれば、判断が難しい。「だから、まだわからないです」と最後に小さく付け加えた。
野球好きで、地元広島カープのファンである。シーズンオフにゴルフ部内で野球サークルを立ち上げると、すぐに18人が集まった。金谷のポジションはピッチャーとショート。「懐かしいですね」と、いまでは遠い昔のような数カ月前を振り返った。
「早く、いままで通りのスケジュールで過ごしたいなって思います。当たり前のように合宿をやって、当たり前のように試合がある。そのために練習をしていたし。いまは試合がなくて、モチベーションをうまく保てないし、ちゃんとやることをやらないといけないなって思うけど、やっぱり違うから…」。
世界アマチュアランキングを管轄するR&AとUSGAは、各選手の置かれた状況を考慮して、ランキングは毎週更新するものの、新しい試合結果が追加されない限り、各選手の平均点を時間経過によって減算しないことを決定した。同ランク1位につける金谷の平均点は「1409.9204」で止まったまま。これがいつ動き出すかは、まだ誰にもわからない。(編集部・今岡涼太)