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2年連続賞金王・今平周吾が手記 「不思議な感じ」と2020年への誓い

◇国内男子◇日本シリーズJTカップ 最終日(8日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)

今平周吾が2年連続の賞金王を戴冠した。3位に終わった最終戦「日本シリーズJTカップ」を含め、今季国内ツアー25試合に出場(棄権1試合)して2勝、獲得賞金を1億6804万9312万円に積み上げ、2位のショーン・ノリス(南アフリカ)に2300万円差をつけた。2年続けてマネーキングの座についたのは青木功尾崎将司中嶋常幸片山晋呉に次ぐ5人目の快挙。ただ、海外では思うように成績が出なかった一年でもある。GDOニュースに手記を寄せ、喜びと苦悩を記した。

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5人目の快挙は「不思議な感じ」

2年続けて日本ツアーの賞金王になるのは5人目という事実をシーズン中、記事で知りました。改めてすごいことだとは思うのですが、不思議な感じがしてなりません。僕以外の4人は、永久シード権を持つレジェンドです。優勝を積み重ねてタイトルを獲られたと思うのですが、自分はまったく成績が伴っていないように思います。

毎週のように優勝争いができたことには満足感もあります。それでも、胸を張る気にはなかなかなれません。「日本シリーズJT」も最終日の17番まではいいゴルフができていたのに、最後に負けてしまったことが悔しい。やっぱりツアーでは、勝たないと何も残らない。今年は平均ストロークが去年の「69.92」から「69.73」に向上しました。

年々、1Wショットの飛距離が伸びている(18年287.09yd、19年292.93yd)ことで、以前よりも短い番手で2打目を打てるようになったのが、アドバンテージになっていると実感するところもありました。とはいえ、トップ10入りが16回あっても、毎試合勝つことをイメージしながらやってきたので、その分悔しさも湧いてきます。

“エゴサーチ”で味わった屈辱

今年は初めて年間すべての海外メジャーに出場しましたが、すべての試合で予選落ち。8月のオープンウィークに、スマートフォンでふと自分の名前をローマ字でネット検索したとき、「4つのメジャー全部で予選落ちしたのは日本の今平だけ」という海外の記事を読みました。

自分は世界からそう見られていると感じ、日本の賞金王として恥ずかしい思いも湧きました。日本ツアーにとっても良くないことをしてしまった。4つのメジャーのなかでも、衝撃的だったのは5月の「全米プロ」です。会場はニューヨーク州のベスページ州立公園ブラックコース。「ここでは絶対に戦えない、太刀打ちできない」という印象を、今までで一番強く受けました。

距離が長く、フェアウェイも狭く、ラフも長い。僕が100yd前になんとか進めるようなラフから、欧米の選手たちはグリーン周りまで持っていく。その後の「全米オープン」、「全英オープン」は距離がそこまで長くなくて戦えそうな感じがあったにもかかわらず、メジャーで予選を通れない流れが続き、なかなか良いイメージを持てないまま試合に臨んでばかり。

日本では気持ち良く、自信を持ってできているゴルフが、海外に行くと周りを気にしてやっているところがある。一番は彼らのパワーに目を奪われて、気持ちで負けてしまっていると痛感しました。

ゴルフの原風景は“日高プラスワン”

ゴルフを始めてもう20年以上が経ちました。幼稚園のとき、父が近所にある練習場「日高プラスワン」(埼玉・日高市)に連れて行ってくれたのがきっかけです。テーラーメイドのジュニアゴルフクラブのセットを買ってもらった記憶が今もあります。ただ、本当にゴルフに熱中したのは小学校3年生くらいの頃。家族旅行で栃木県に行き、メイフラワーゴルフクラブというコースで1日1.5ラウンドを2日続けて回りました。本当に楽しくて、それからは毎日近所の練習場に通うようになりました。小4の頃にはもう「100」はたたかなかったような…。僕はクラブをほかの選手よりも短く持ちますが、これは小さい頃から変わりません。ライ角などを気にしながら、振りやすさ、打ちやすさを追求していたら自然と今のようになりました。短いクラブを普通に(グリップを余らせず)握るやり方も試したんですが、それでは距離がどうも出ないんですよね。

中学の頃は“帰宅部”で、学校から帰ってくると真っ先に「プラスワン」に行き、閉店時間の夜11時までずっとそこにいる生活でした。練習場は定休日もないのでほぼ毎日、母に車で送り迎えをしてもらって。当時は両親や練習場で知り合った方と、ツアー観戦にも何度か行きました。近くの狭山ゴルフ・クラブでの「ダイヤモンドカップ」や千葉での「ブリヂストンオープン」…。静岡での「三井住友VISA太平洋マスターズ」では中嶋常幸さんの復活優勝を生で見ました。もちろん僕もタイガー・ウッズに憧れた世代。特に伊澤利光さんのキレのあるスイングはよく真似しましたね。

石川遼は地元の先輩 米国で武者修行

1つ年上の石川遼選手は同じ埼玉出身ですから、ジュニア時代から知っていました。僕が中学生のとき、高校生と一緒にプレーする試合でもいつも上位にいたんです。“遼くん”は絶対にかなわないと思った存在。当時は話しかけることもできなかった。2007年にアマチュアで優勝したとき(マンシングウェアオープンKSBカップ)も、それだけの実力があるんだろうなと思っていました。ただ僕も中学を卒業するころには、「プロゴルファーになるしか生きる道はない」という気持ちでゴルフに打ち込みました。体も小さく、パワーを考えるとプロは厳しいかな…と思った時期もありましたが、高学年のときに飛距離が伸びてきたことも、自信になったきっかけです。

埼玉栄高を中退して、米国フロリダのIMGアカデミーで約2年間過ごしました。いまPGAツアーでプレーしているエミリアノ・グリジョ(アルゼンチン)やC.T.パン(台湾)が同期になります。グリジョは本当にうまくてボールもよく飛んだ。あの頃から気性は荒かったかな(笑)。パンくんは優等生で紳士的でした。午前中は学校の授業、午後に近隣コースでラウンドや練習をする毎日。バスでの移動が基本で、外出禁止だったんですが…。アカデミー内のカフェテリアの食事があまりおいしくなくて。チャリでこっそり抜け出し、ウォルマートやサブウェイに食べに行って、怒られたこともありました。

11年ぶりの“再会” 松山英樹に告白?

2週前の「ダンロップフェニックス」で松山英樹選手と同じ組でプレーしました。一緒に回ったのは2008年の「日本ジュニア」でぶつかったとき以来、11年ぶり。当時は松山さんも体が細かったんですが、米ツアーでの活躍をテレビで見ていて、実際に間近で見てみたいと楽しみにしていました。パー5の2打目で残り210ydくらいから5Iで、ものすごく高い、精度もあるショットに驚きました。僕は距離的にも4Iくらい。あそこまでの高さは出せない。やっぱりすげえな…と思いました。

松山さんは一見、ちょっと話しづらい雰囲気があるじゃないですか。だから僕からは声を掛けられなかったんですけど、意外と話しかけてくれて。すごく優しかったんで、「チャンスだ」と思って、「海外に行ったときに一緒に練習ラウンドをしてくれますか?」とお願いしました。「いいよ」と言ってくださったので、次に会う機会が楽しみです。

男子ツアー人気復活と2020年のカギは

今年は、選手会の副会長を務めました。今の日本ツアーは確かに元気がないように思えます。松山選手もそうですが、渋野日向子選手の登場で盛り上がった女子ツアーを見ても、やはり海外で活躍する選手がどんどん出ることが、見る人が増えることにつながると感じています。ひとりの選手が毎週上位にいても、年間に3勝、4勝しても、もう日本だけでの活躍によって人気が出るのは難しい。

海外での活躍が日本での反響につながると痛感しました。来年の東京オリンピックはひとつ、大きなポイント。会場の霞ヶ関カンツリー倶楽部は、自宅から車で15分のところにあり、僕にとっては地元のコースです。昨年の春にラウンドさせていただきましたが、フラットに思えたグリーンも改造でアンジュレーションが強くなり、バンカーも増えて海外のコースのような雰囲気になりました。

今年は海外の試合で良い成績を残せなかったので、2020年はそこを絶対に克服したい。オリンピックにも今の位置なら絶対に出たい。今年思うようにいかなかったことを超えていくのを目標に頑張りたいと思います。(プロゴルファー・今平周吾

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2019年 ゴルフ日本シリーズJTカップ



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