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悲しみを分け合う弟とともに ノリスは亡き父に捧ぐ勝利

◇国内男子◇トップ杯東海クラシック 最終日(6日)◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知)◇7295yd(パー71)

1m強のウィニングパットを沈めた直後、ショーン・ノリス(南アフリカ)はパターを手離してしゃがみこみ、両手で顔を覆って嗚咽した。キャディで弟のカイルさんが顔を寄せて語りかける。「ほら、言っただろ? お父さんが上で見ているって」。通算9アンダーで飾ったツアー通算4勝目は、今年7月に他界した父・パトリックさん(享年76歳)に捧げる勝利となった。

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7月の「日本プロ」開催中に、病床にいた父の訃報を聞いた。ゴルフをはじめるきっかけを作ってくれた敬愛する父を亡くし、「精神的に(ゴルフを続けることが)難しい時期もあった」と振り返る。打ちひしがれるほどの傷心を少しでも癒すために、頼りにしたのは家族の絆だった。かつてプロゴルファーとして母国ツアーを戦っていたカイルさんを南アフリカから招き、前週の「パナソニックオープン」からキャディに採用。「自分の気持ちを一番よく分かってくれている弟が近くにいることで、自分の感情をコントロールしやすくなると思った」と打ち明けた。

生前のパトリックさんからは、『感情的にならずに、落ち着いてプレーしていればバーディはくる』と指導されてきたという。初日から首位争いを続けた今週は、カイルさんが父の代わりになってメンタル的なアドバイスを伝え続けた。2日目のラウンドを終えたノリスは、「弟は“父ならこう言うだろう”というアドバイスをしてくれるんだ。弟がいなければ、感情的になった局面はたくさんあったと思う」と話し、弟の細やかな気づかいに感謝していた。

1打リードの単独首位からスタートした最終日は、最初の1番から2連続バーディを奪う滑り出し。序盤で後続との差を4打に開き、独走の気配さえ漂わせた。しかし、1打目を左に曲げた4番から2連続ボギーをたたくと、6番ではミスを重ねて痛恨のダブルボギー。後半には秋吉翔太に首位を明け渡し、追う立場に変わったが、15番(パー5)で8mのバーディパットを沈めて力強いガッツポーズ。再び首位に並び、最後は1打差で後続を振り切った。

苦しい場面の連続となった最終日も、弟の支えは何よりも大きな助けになったことだろう。ともに深い悲しみを共有する弟とともに、兄弟でつかんだ優勝カップ。ノリスは18番グリーン上の優勝インタビューで改めてカイルさんに感謝を伝え、天国から見守る父への思いを馳せた。(愛知県みよし市/塚田達也)

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