<古閑x堀江5>古閑美保の“女子プロ20年論”
<古閑x堀江8>賞金ゼロの金メダル プロゴルファーは頑張れる?
古閑美保x堀江貴文 対談その8(全9回)
【古閑美保プロ(以下、古閑)】私の価値観では、やっぱりオリンピックってアマチュア競技なんですよ。すごく失礼な言い方ですけど、アマチュアの人たちって金メダルを獲るためにやるじゃないですか。それでも日本って、金メダルを獲ったところで一生面倒を見てくれるわけでもない。他の国だったらそういう所もあるかも知れないけど。でも、ゴルフってそもそもプロ競技があるわけで。私だったら、もし現役でやっていたとしても、そこまで金メダルに魅力を感じないと思います。私、レポーターでロンドン(五輪)に行っているんですけど、その時に思ったのは、オリンピックに出るためにやっているアスリートの人たちはお金じゃないんですよね。同じ気持ちがプロゴルファーの子たちにあるのかというと、私は疑問です。
【堀江貴文氏(以下、堀江)】うんうん。
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【古閑】私自身、そう思いますもん。もし代表に選ばれたとしたら、“金メダルを欲しいな”というのはありますけど、“絶対に金メダルを目指して!”というのはあんまり思わなかったと思います。
【堀江】よく考えたら、ゴルフで賞金が出ないのはきついですね。
【古閑】だから微妙ですよね…。私たちにはプロ競技がありますから。レスリングとか、水泳とかの選手にとって、金メダルっていうのはすごく大きいものだと思いますよ。でも、私たちは金メダルを獲ったところで、国内で優勝していた方がお金を貰えるじゃないですか。金メダルの名誉のためにずっと今までやって来たわけじゃないですし。
【堀江】たしかに。
【古閑】そりゃあ、小さい時から金メダルのためにやってきた人と、プロになるためにやってきた人の価値観は違います。私は金メダルを獲ったら(報奨金が)200万円とか300万円って聞きました。柔道は“獲って当たり前”ってことでゼロらしいですけど…。
【堀江】メジャーで勝てば、億円単位だもんね。ケタが違うよね。
【古閑】テニスもそうだと思いますよ。プロ競技があるものは。錦織君だって金メダルを獲るためにやっていないでしょ、多分。やっぱり4大大会とかですよね。ほかのプロスポーツ選手からも、「自分たちは金メダルを獲るためにやっていない」という話は聞いたことがありますね。
【堀江】選手のモチベーションですよね。名誉以外の何かプラスになるものがあるのかなと言ったらね…。
【古閑】アマチュア選手だったらいいですよ。私も小さい頃はアマチュアでやっていましたし、世界アマとかに出るのはステータスでしたから。
【堀江】でも見ている方はアマチュアだけだとつまらないですよね。
【古閑】プロ競技があってそのレベルの方が高いなら、そういう意見も出てきますね。
【堀江】そうですよね。スポーツ選手でプロになる、しかもゴルフを選ぶっていうのは、絶対稼ぎたいというのはありますよね。それを鉄の意志でやっているわけで。プロなんて絶対最後のパットとか痺れますよね。僕だったらあんなのやるの嫌ですよ。オリンピックの鍵はそこですね。
【古閑】極端なこと言うと、私、痺れないと思いますもん、オリンピックの金メダルじゃ!
【堀江】まじですか!?
【古閑】だってそうですよ。こっちは賞金懸けてやっているわけですから、プロとして。
【堀江】確かにパット1つで1千万円の差とかになりますからね。
【古閑】やっぱり価値観ですよ。私は金メダルを目指して育ってないですから、そういう子とは金メダルの重さが違いますよ。だから、名誉だけでやってくれる子が出ると信じましょうよ(笑)
【堀江】名誉はマスターズとかに勝つ方が全然名誉じゃないですか。
【古閑】それが金メダルになって欲しいっていうことですよね。まあ、なんにせよゴルフの好きな人が選ばれればいいですね。そういう子は頑張るもん。
(その9に続く)→「金メダリストとオリンピックの波及効果」
- 古閑美保
- 熊本県熊本市出身。小学生時代は野球少女として鳴らし、現オリックス・バファローズの馬原孝浩からホームランを打ったという逸話も残る。10歳でゴルフに転向し、坂田信弘氏主宰の坂田塾の第1期生として入塾する。96年に日本ジュニア優勝。98年から00年まではJGAナショナルチームメンバーとして活躍し、01年にプロテスト合格。08年にはツアー最終戦で劇的な形で初の賞金女王に輝いた。03年の初勝利から引退する11年まで、メジャー2勝を含む計12勝を挙げている。現在はゴルフの解説・リポーターを始め、バラエティ番組など各方面へ活動の幅を広げている。
- 堀江貴文
- 1972年福岡県八女市生まれ。東京大学在学中の96年に有限会社オン・ザ・エッヂを設立。エッジ、ライブドアと社名を変え、プロ野球球団やニッポン放送買収で世間の注目を集める。05年には衆議院の総選挙にも立候補したが、翌年に証券取引法違反で逮捕され、11年6月に収監。刑期を終えた現在はSNS株式会社のファウンダー兼従業員として活動を行っている。愛称はホリエモン。