2016年 マスターズ
期間:04/07〜04/10 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
革命児デシャンボーと球聖ジョーンズの共通点
今年で80回目を迎えたゴルフの祭典「マスターズ」だが、アマチュア選手が優勝したことは一度もない。2位に入ったことは3度あるが、直近は1961年(チャールズ.R.コー)と、55年も前のことだ。
2日目を終え、予選通過を果たしたアマチュア選手は2人。最上位となる8位タイにつけるのは“ゴルフの革命児”と目されるブライソン・デシャンボーだ。
<< 下に続く >>
昨年、「全米大学体育協会(NCAA)ゴルフ選手権」と「全米アマチュア選手権」を同年に制覇して、それまでジャック・ニクラス、タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、ライアン・ムーアだけが成し遂げていた偉業リストに加わった。
3Iからウェッジまで、すべて37.5インチという同じ長さのシャフトを使う独自の手法で、初のオーガスタへとたどり着いた。「ここに来られたことには理由がある。自分がやっていることを信じているからだ。もし自分のやっていることを信じていなかったら、ここには来られていなかったと思う」とデシャンボーは言う。その信念をさらに強化する出来事が、ここオーガスタであったという。
オーガスタナショナルGCのトロフィールームは、レストランとして使われている。デシャンボーが朝食をとるため、初めてその部屋に入ったときのことだ。ふと壁を見るとクラブセットが飾られており、彼はすぐにそれがボビー・ジョーンズの物だと分かったという。「だって、だいたい全部同じ長さをしていたから」。
「特別な瞬間だった。いつも話は聞いていたけど、実際にこの目で確かめたことはなかったから。でも、ケースをのぞき込んで良く見たら『なんてこった。本当に全部ほとんど同じ長さじゃないか』って驚いた。自分がやっていることへの確信を強めたね」
この日、デシャンボーは最終18番でティショットを左に曲げてアンプレヤブル。トリプルボギーを叩いて、首位と4打差となる通算イーブンパーでホールアウトした。だが、心は全く折れていない。
「全然、辛いことなんかない。ただの1打さ。みんな『かわいそう。彼は緊張していた』って言うけど、そんなことはない。2度引っ掛けてしまったのは残念な要素だけど、ただのゴルフゲームだよ。そこから学んで、また明日自分のベストを尽くせばいい」
「明日の準備はできているよ」とデシャンボー。次週の「RBCヘリテージ」で、プロ転向することが決まっているが、生涯アマチュアを貫いたジョーンズ同様、アマチュアとしても大仕事をやり遂げそうな雰囲気だ。(ジョージア州オーガスタ/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka