世界ランク導入後初 日本の賞金王が「マスターズ」に出られない?
自力で「マスターズ」の出場権をつかむラストチャンスだった。昨季の日本ツアー賞金王の小田孔明は前週、フロリダ州で行われた「WGC キャデラック選手権」に挑んだが、通算16オーバーの68位タイ。出場前の世界ランク70位をランクアップさせることができず、オーガスタでプレーするための条件、開幕前週3月29日(日)付けの同ランク50位以内に入ることは絶望的となった。1カ月後の日本ツアー開幕まで、小田にはもう世界ランク対象競技への出場予定がないためだ。
すでに昨年末に発表の世界ランク上位50位が「マスターズ」出場を決めているが、小田はその時点でも世界56位とわずかに届かなかった。「そこで50位以内にもっていけなかった自分が悪い。来年はそのリベンジができるように頑張りたい」。フロリダを去る前の言葉に無念さをにじませた。
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最終戦まで戦い抜き、初めて手にした夢の日本ツアー賞金王。しかし、その称号も海外メジャーの出場資格においては大きな意味をなさない。現在は世界ランクが大きなウェイトを占めており、日本ツアーの成績が、出場資格に明記されているのは「全英オープン」(賞金ランク上位2位までなど)のみとなっている。
一般には誤解もあるかもしれないが、日本の賞金王だからといって「マスターズ」に出られる根拠は、事実として1つもない。「全米オープン」、「全米プロ」しかりだ。
「マスターズ」の出場資格に初めて世界ランクが導入された1999年大会以降、日本の賞金王が上位50人の出場条件を満たせなかったのは、2004年の片山晋呉以来2例目となる。片山はマスターズ委員会から受けた『特別招待』により05年大会への出場を果たしたが、今後、小田に招待状が届くかは不透明だ。世界ランク導入後において、日本ツアー賞金王が「マスターズ」出場を初めて逃す可能性は日に日に高まっている。
日本ツアーのナンバーワンプレーヤーが、“祭典”の舞台に立てない…。無念に思っているのは、もちろん小田だけではないだろう。日本ツアーの試合数がかつてよりも少なくなった今、既成事実となってからも重みを増していきそうな現実だ。(編集部/塚田達也)
塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。