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松山英樹、初優勝に届かなかったパッティング

米ツアー初優勝に手が届きかけた「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」の松山英樹。4日間合計で実に56万3000人もの大観衆を動員したTPCスコッツデールで、優勝したケビン・スタドラーと松山を隔てたものは何だったのか?

首位との3打差を追いかけてスタートした最終日、松山は1番ホールで幸先良くピン上2.5メートルにつけたが、このチャンスを決めきれなかった。「昨日(3日目)の段階で自分の思うストロークができなくなっていた。それが1番ホールのチャンスでちょっとしたミスが出て、どんどんストレスの溜まるラウンドになってしまった」。

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PGAツアーには、2011年から『ストロークゲインド・パッティング(パットのスコア貢献率)』というスタッツが導入されている。これは、ひと言でいえば「各トーナメントにおいて、パッティングがどれだけスコアに貢献したか」を表す指標で、04年に“すべての選手のすべてのショットを記録する”ショットリンクが整備されて以降、算出可能となったものだ。

日本ツアーでは『平均パット』がグリーン上でのパフォーマンスを表す指標で、これは「パーオンホールでのパット数÷パーオンホール数」で算出される。ただし、グリーン上のどこに載ったか?は考慮されていない。つまり、ショットが良く、ピンそばにつける回数の多い選手は必然的に良い数値となり、逆にショットが悪くとも巧みなパッティングでしのいでいる選手のパフォーマンスは数字に表れにくい。

一方で、『ストロークゲインド・パッティング』は、パットの距離と、前年度の同距離からのツアー平均パット数、さらにフィールド(他選手)の数値をもとに算出される。例えば、2.2メートルからの平均パット数が1.5だとすると、これを1パットで沈めれば0.5ストロークを得たことになり、逆に2パットだと-0.5、3パットだと-1.5となる。こうして積み上げた数値を、同大会同ラウンドの他選手と比較する。18ホールを終えてある選手が+3.0で、フィールドの平均が+1.0だとしたら、この選手の『ストロークゲインド・パッティング』は+2.0となるわけだ。

「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」最終日、松山の『ストロークゲインド・パッティング』は-2.796だった。たらればの話だが、単純にもし平均値の“0”でプレー出来ていたならば、松山の通算スコアは16.796アンダー。優勝したスタドラーの16アンダーを上回っていたことになる。

だが、悲観することはない。昨年10月に開幕した13年-14年シーズンを通してみれば、松山の『ストロークゲインド・パッティング』は0.673でランキング13位。前週までは同6位だったのだから、決してパッティングが下手ということではない。事実、「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」でも、初日(0.683)、2日目(1.222)3日目(0.326)と、連日プラス数値だったのだ。

復帰からの2連戦は16位タイと4位タイ。ショットが万全でない中でのこの成績は、総合力の高さの証しとも言えるだろう。「パッティングに助けられた2週間だった。でもそれを今日の最後まで続けられなかったことはすごく悔しいという思いもある」。

米ツアー初優勝に届かなかったわずかの差。「14番、15番で獲れなかったのが16番につながった。17番も入らなかったのが今の実力。優勝争いではそれを入れていかないといけないと思う」。1週間の休みを挟んで迎える次戦はロサンゼルス開催の「ノーザントラストオープン」。チャンスはまだ充分にある。(アリゾナ州スコッツデール/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2014年 ウェイストマネジメント フェニックスオープン



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