2013年 全米オープン
期間:06/13〜06/16 場所:メリオンGC(ペンシルベニア州)
息詰まる最終日 32年前と今大会のピンポジション
ゴルフトーナメントのメディアセンターには、選手たちのラウンド後のコメントや、気象状況、大会に関する記録など、様々な資料が膨大な量のシートとなって日々蓄積されていく。国内外を問わないが、その枚数や記録自体の細かさも、それぞれのツアーが持つ規模に比例するようだ。
2013年の「全米オープン」最終日。スタート前のそこには、なんとも粋なシートの束があった。32年前にここメリオンゴルフクラブで行われた際の、最終日のピンポジションの位置を示すシートだ。上部に年度を示す「1981」と、最終ラウンドを示す「4」の数字。隣の全米ゴルフ協会(USGA)のエンブレムが誇らしげだ。
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現在は、技術の進歩によりパソコンはもちろん、携帯電話やタブレット用アプリなど様々なツールで、世界のあらゆるところから閲覧が可能だ。しかしその情報自体は、時が経過しても価値が損なわれることは無い。
もちろん道具の進化や、グリーンの形状も少しずつ変わっているから、当時と今とのコースの難易度など、このシートを見比べて単純な比較はできない。しかしこれが、エキサイティングなトーナメントを演出するための重要な資料であることは、疑いようがない。
この日、優勝したジャスティン・ローズが奥からフェアウェイウッドで転がして寄せたアプローチ、フィル・ミケルソンが最後の望みをかけてはなったウェッジショット。すべての人が固唾をのんで凝視した最終日のピン位置は、手前エッジから24ヤード、左から7ヤード。そしてこの過去の資料に目をやると、81年大会は手前21ヤード、左8ヤードとある。いずれもグリーンの左奥だった。
全米オープンは、最高難度のセッティングを用意するため、大会を開催する数年前に「全米アマチュア選手権」などUSGAの主催する他のイベントを行うなどして、入念に準備を重ねていく。それでも、32年を経ても、最終ラウンドにふさわしいカップのポジションは変わらなかった。名シーンが当時とシンクロする、そんな楽しみも歴史あるメジャートーナメントの魅力だ。(ペンシルベニア州アードモア/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw
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