観戦チケットは検査キット付き コロナ禍「マスターズ」の“水際対策”
2021年 マスターズ
期間:04/08〜04/11 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
マスク着用率は全米イチ!? コロナ禍「マスターズ」の観戦スタイル
2021/04/10 16:30
◇メジャー第3戦◇マスターズ 2日目(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7475yd(パー72)
“異変”は移動の車中から感じていた。メインストリートとなるワシントン通りが渋滞していない。宿泊するホテルから予定通り10分ほどで着いてしまった。
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コロナ禍で制限されたパトロンの数は非公表。大会前に米メディアは1日1万2000人程度と予想していたが、関係者によると1日5000人との説もあるという。いずれにしても、例年の数分の一の少なさだ。
24時間以内の抗原検査陰性の証明書が必須となる今回の観戦チケット。パトロンの中では事前の感染対策が最も厳しい部類に入るとみられる。
このチケットでのみ入れる区画には、ジャック・ニクラスや故アーノルド・パーマー、タイガー・ウッズらの優勝時の使用クラブ、2014年に伐採されたアイゼンハワーツリーの切り株といった展示品、各ホールのグリーン体験コーナーだけでなく、レストランやパブが立ち並ぶ。仲間とテーブルを囲んで食事をする光景が当たり前に広がっていた。
観戦エリアに入れば、これまで取材で訪れてきた「マスターズ」との違いを実感する。選手とキャディを除き、コース内にいる人の9割以上がマスクをしている印象。前週までPGAツアーが行われていたテキサスでは州としてマスク着用義務を解除。ツアーはギャラリーに対してコース内でのマスク着用を求めていたが、徹底はされていなかったと聞いた。
しかし、ここはオーガスタナショナルGC。来場者に携帯電話の持ち込みを禁じるなど厳格な観戦マナーを設け、違反者には容赦ない対応を取ることで格式を保ってきた。その歴史の重みがパトロンの背筋を伸ばし、意識を高めている。
マーチャンダイズ、売店、トイレにも、いつものような大行列がない。各所でサンドウィッチなどが買える売店は、レーンの数を減らしてもスムーズに回転。ちなみに無観客開催だった昨年11月の大会はコース内に関係者しかいないため、すべてタダで置いてあったらしい。
例年以上に広々と感じる、スタンドのないコース。グリーン周りにあるイスを置いて観戦できるエリアは、マスク着用や飲食禁止に加えて場所取りが禁じられた。身長165㎝の日本人でも、最も多くのパトロンを引き連れていたジョーダン・スピースの組についてプレーを見るのは難しくない。初日、打つ直前にクラブが砂に触れていたことが発覚して2罰打を科されたアブラム・アンセル(メキシコ)の15番のバンカーショットも、すぐ近くで見ていた(そして、砂に触れたことに全く気づかなかった…)。
世界中の名手“マスター”たちのプレーを堪能できる幸せとともに感じた。遠ざかって久しい大観衆の熱狂も、間違いなくこの大会をゴルフの祭典たらしめていたことを。(ジョージア州オーガスタ/亀山泰宏)
亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。