このボールを見るたびに、悲しみがこみ上げてくる？

◇米国女子◇ISPSハンダ オーストラリア女子オープン 事前情報（12日）◇ザ・グランジGC （オーストラリア）◇6648yd（パー72）

今年1月、日本を代表する人気アイドルグループ「嵐」が2020年いっぱいで活動を休止することを発表した。それを聞いたコアな女子プロファンならば、ふと気になる選手の顔が頭に思い浮かんだはずだ。

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その熱烈ぶりは、1Wは「相葉雅紀」、3Wは「櫻井翔」という具合に、各番手にメンバーたちの名前をつけ（アイアンには関ジャニ∞のメンバーの名前も）、キャディバッグ、パターカバー、マーカー、ボールにまで「嵐」の刻印をつけてプレーするほど。そう、酒井美紀だ。

27歳の酒井がゴルフを始めたのと、「嵐」の結成（1999年）はほぼ同時期だった。すぐファンになると、最初は姉の美香さんにボールに「嵐」と手書きしてもらった。「それまでOBを打っても気にならなかったけど、『嵐』って書くようになってからは愛着が湧いて、OBに行っても一生懸命探すようになった。そもそも無くしたくないから曲げなくなった」と、プレーにも好影響が出たという。

プロになった現在でも、テレビなどで目にするメンバーの印象で「不思議とクラブの調子が変わる」という。「きのうマツジュンを観たから、（4Iの）調子がいい」とか、「面白くないのを観たから気持ちが悪い」とか…。ゴルフはメンタルスポーツだ。もはや「嵐」の活動も、酒井のパフォーマンスにおいて無視できない要素の1つとなっている。

13年から5年間守り続けた賞金シードを落とした17年は、楽しみにしていた年末のコンサートチケットも抽選に当たらず、「日頃の行いが悪かった」と涙した。だが、3年ぶりに賞金ランク30位以内に返り咲いた昨年は、相葉さんの誕生日である12月24日に東京ドームでデビュー20周年コンサートを観られて、「1年頑張ったごほうびです。今回はすごかった」と、やっぱり泣いた。「すべてはそれで動いています」と生活の中心に「嵐」がある。

「まだ実感はない」というものの、活動休止まで2年弱。「ある意味、嵐らしい決断だと思う。逆に4人で活動されても、それはそれでショックだから」と、いまは冷静に受け止めている。ゴルフへの影響を考えても、「大野くん（7W）が活動休止になっても、まだ相葉ちゃん（1W）がいる」と言えるのが、失意の中での光明だ。（オーストラリア・グランジ／今岡涼太）