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東京五輪で“日本”を演出 霞ヶ関CCと「松」の深い関係

◇オリンピックで世界に発信! 国内からの反響も

東海林さんは当初、テレビに映る場所や目につくところにある数百本の松の木を、新たな手法による剪定対象としてピックアップした。

だが、業界の高齢化により対応できる外注業者は見つからず、作業は丸山さんら数人のスタッフに頼らざるを得なかった。生育を阻害せず安全に剪定作業ができる適期は、松が水の吸い上げを休止する冬期間に限られている。通常のコース管理も同時に行う必要があったため、対象は約100本に厳選された。

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20m以上に育った松の木の剪定作業には、高所作業車が必要だ。「下(の枝葉)を残そうとし過ぎると、日が当たらなくて枯れてしまう。そこのバランスが難しかったです」と丸山さんは振り返る。

「うまく自分がイメージした通りに切れたら良かったなと思いますけど、切ったものは元に戻せない。上に登っていいと思って切っているけど、下に降りて失敗したっていうのも多々あって、そういうときは情けなりますね」と苦労の連続だった。

当初、1日2万人のギャラリーを入れる予定だった東京五輪のゴルフ競技では、枯れ枝落下による人身事故を警戒していた。丸山さんらは小型チェーンソーやハサミを使った剪定作業や枯れ枝除去を続けながら、木肌を剥いて赤松特有の幹の赤みを演出するなど地道な準備を重ねていった。

その後、コロナ禍に見舞われて東京五輪は1年延期が決定された。関東近県に緊急事態宣言が出され、2020-21年は時間的、人数的な制約も課される中での作業となった。

「2019年に作業したものが、ちょっとボサボサになってきちゃったかなというタイミングで本番を迎えたので、あまり本望ではなかったのですけど…」と東海林さんはやや残念そうだ。「赤松は、樹皮を剥がしたばかりのときは赤さがすごく綺麗でコースに映えていたんですけど、1年くらい経つと少し黒ずんできたりして…」

それでも、遠く海外からやってきた人々に、霞ヶ関は“日本的なゴルフコース”として印象的に映ったようだ。SNSにはコース写真だけでなく、松の木の写真も投稿され多くの人々の目を癒やした。加えてプロジェクトは国内のテレビ番組でも紹介され、同業者からの反応も少なくなかった。

「“そこまでやっているのか”っていう反応が多かったですね」と東海林さんは打ち明ける。「どちらかというと、コース管理者にとって木は、風が吹けば葉っぱが落ちて清掃しなきゃいけないし、枝も切らないといけなくてマイナスの方が多い。でも、やっぱりゴルフ場には必要なものなので、手入れを要望もされるし、やりたいけど、なかなかそこまで手が回らないっていうのが多くのゴルフ場の現状なので…」

コースの樹木との関係は、いまや日本で幾多のゴルフ場が抱えるジレンマだった。

◇崩れたバランスを取り戻せるか?

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2021年 東京五輪



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