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女性アスリートにとって“結婚”は分岐点? 日下部智子の決断

今週、千葉県で開催中の「伊藤園レディス」にホステスプロとして出場した日下部智子は、これから始まるかもしれない第二の人生との狭間で、自分を見つめ直す分岐点にいた。今月3日に更新された日下部のブログ。それは、2004年のプロ転向から10年目となる今年、プロツアーの第一線から退くことを示唆する内容だった。

シーズン半ばでの公表について「(今季の試合を)全て終えてからの方がタイミングとしては良かったかもしれない」と悩んだというが、日下部はすでに、今月5日からのセカンドQTへのエントリーを取りやめていた。前週の「ミズノクラシック」終了時点で、今季の獲得賞金ランクは117位。同50位の選手までに与えられる来季賞金シードは厳しい状況にあり、QTの欠場は、そのまま来季ツアーへの出場意思がないことを示している。「(エントリーしなかったことによる)周囲の反応を考慮した」ことで、先週の発表へと至った。

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日下部は2012年12月に学生時代の同級生と結婚。同年はファイナルQTに進めず、翌年はステップアップツアーを主戦場にした。支えとなる新しい伴侶を得たものの、出場試合は下部ツアーと、推薦出場が与えられたレギュラーツアーの数試合に限られる中で「試合勘がなくなってしまった」。だがそれ以上に、34歳という“妙齢”にいる日下部にとっては、第二の人生として、「家族を作っていきたい」という想いが日増しに強くなったという。

もちろん、夫と相談して決めたこと。「自分のやりたいようにやればいい」と、長い時間をともに過ごしてきた夫は日下部の意志を尊重し、その決断に委ねた。「ギリギリまで悩んだけど、(決断した)今はとてもスッキリしている」と、迷いのない晴れやかな表情で語ってくれた。

女性にとって“結婚”は、大きく人生を変えるもの。それは女性アスリートにとっても同じことだ。ある物ごとに極限まで集中力を高め、自身を追い込むことで実力やポテンシャルを発揮する選手もいる。結婚、出産のライフイベントを経ても、モチベーションを維持し続ける選手もまた然り。さまざまな選択肢がある中で、日下部はプロゴルファーとしてではなく、女性としての新しい一歩を踏み出すことを選んだ。

今大会を主催する伊藤園は、日下部をプロ転向直後から支え続けてきた。開幕前日、「最後なので、感謝の気持ちを込めて精一杯プレーしたい」と活躍を誓ったが、通算3オーバーの65位で終え、悔しさを残して予選ラウンドで姿を消すことになった。

「終わった・・・」。全力で戦い抜いた36ホール目でパーパットをカップに沈めた瞬間も、決断は揺らぐことがなかった。目にはうっすらと涙を浮かばせ、笑顔で仲間と抱き合って労をねぎらう姿はキラキラと輝きを放ち、その幕引きはとても爽やかなものだった。(千葉県長南町/糸井順子)

糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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2014年 伊藤園レディス



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