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復活勝利の大山、「リコーカップ」出場に込められた想い

大山志保が3年ぶりの勝利を手にし、幕を閉じた「マスターズGCレディース」。09年のシーズン序盤に左ひじを痛めてツアーから離脱。同年12月に内視鏡手術を受け、長いリハビリを経て、翌10年9月にツアー復帰を遂げた。そして1年後、ようやくガッツに満ち溢れた、強い大山が戻ってきた。

苦難を乗り越えての復活劇にも、優勝を決めた瞬間の大山に涙は無かった。「今までたくさん泣いてきたし、プレーオフの興奮状態でまだ実感が湧いていませんでした」。だが、優勝インタビューで、これまで支えてくれた人たちに感謝の言葉を紡いでいた途端、目から涙が溢れ出た。

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左ひじの故障により失意の渦中にいた時、友人の勧めからオーストラリアでホームステイを体験した。大山が「転機だった」と振り返る、オーストラリアの滞在と、ホームステイ先のファーガソン夫妻との出会い。「“シホが元気でハッピーなら幸せ”と言ってくれた。ゴルフに関係なく、私のことを大好きでいてくれた」。当時、「ゴルフができず、私って価値があるのかな」と自分の存在価値すら見失っていた大山にとって、何よりも有難い言葉、そして触れ合いだったのだろう。「この人たちのためにも頑張って復帰しよう」。夫妻の存在は、いつしか心の支えとなっていった。

復帰後もファーガソン夫妻とは連絡を取り合ってきたが、今年2月に思わぬ訃報が。夫のリース・ファーガソンさんが61歳の若さで、心臓発作により死去。「本当のお父さんみたいだった」と慕っていた大山は、しばらく涙に暮れていたという。生前に交わしていたという、最終戦「リコーカップ」に出場して夫妻を招待するという約束も果たすことができなかった。

その約束は、妻のシェリー・ファーガソンさんが受け継いだ。“見にいくからね”と、前々から開催地である宮崎行きのチケットも手配済みだったという。「絶対に頑張らなくっちゃいけない」。念願が通じ、今週の勝利によりついに手にした最終戦への出場資格。大山の涙には、親愛なる夫妻への想いが込められていた。夫妻との約束を果たし、そして自身も地元でのプレーを楽しみに待つ最終戦。大山の復活に沸く地元の人たち、オーストラリアから来日するシェリーさん、そして天国から見守るリースさんに、言葉では言い尽くせない感謝の気持ちをプレーで届ける。(兵庫県三木市/塚田達也)

塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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2011年 マスターズGCレディース



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