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昨季を超える“強さ”へ 西郷真央の試行錯誤

◇国内女子◇リゾートトラスト レディス 最終日(28日)◇グランディ浜名湖GC(静岡)◇6500yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆5104人)

1Wのシャフトを10g重くする。ヘッドに鉛を貼る。なんとか復調のきっかけをつかもうと、今大会の開幕前も西郷真央は小さな調整を繰り返していた。アドレス時、ボールとヘッドを少しだけ離して構えることで「やりやすい動きで、やりたい動きができる」ことをひらめき、手応えをつかんで臨んだ予選ラウンドだったが、最初からうまくはいかなかった。

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初日「73」で1オーバー69位と出遅れたが、2日目に「71」で持ち直し、カットライン上の通算イーブンパー59位で決勝ラウンドに進んだ。

潮目が変わったのは3日目、通算3オーバーで迎えた後半の4番(パー5)だった。「(そこから)意識的にドローを打ち始めた。元々の持ち球はフェードで、強いフェードを打ちたいという思いがあったのであまりやってこなかったけど、今はドローで捕まえにいった方が(弾道を)イメージしやすい」。ヘッド軌道をインサイドアウトに変えて“逆球”を試してみたことで、安心感のあるティショットが打てるようになったという。

自身が理想としているフェードを目指すためプロテスト合格後に持ち球を切り替えたというが、アマチュア時代はドローを打っていたこともあり、試合中の切り替えもすぐに体に馴染んだ。「今はまだ(左右)どちらかのミスを許さなきゃいけない。ドローを打つなら、左に行ったミスは自分の中ではオッケーと思うようにしている。今回はドローを試してみたら納得の行く許容範囲に収まってくれたので、それを続けた」

3日目、3番までの12ホールで3ボギー1ダブルボギーをたたいていたが、4番からの6ホールで5バーディを奪った。

最終日も、その勢いは続いた。スタートの10番で下り3mのバーディパットを沈めると、16番(パー5)からは3連続バーディ。前半を4アンダー「32」で折り返すと、後半は3バーディ、2ボギーで回り、今季のベスト「67」をマーク。国内ツアーでの60台は4月「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の最終日以来、実に13ラウンドぶりだった。

「毎日というか、毎ホールいろいろ変えながらやった。練習ではアジャストできてしまうので、試合でやってみてどういうミスが出るかとか、自分の体にあったスイングを探りながらの4日間だった」。通算5アンダー28位で終えた大会を、西郷はそう振り返った。

喫緊の課題として取り組んでいるのは、ドライバーに限らないティショット全体。4日間のフェアウェイキープ率は62.50%(35/56)で、予選通過者68人中66位だった。「ティショットって許容範囲が広いじゃないですか。なので、自分のスイングが中途半端になりがち。セカンドショットのように許容範囲が狭くなったほうが振りやすかったりする」。平らなライ、ティアップされたボール、広いフェアウェイ。恵まれた環境から打てるティショットは、西郷にとって“優しすぎる”。傾斜やライ、ピン位置といった条件が加わり、求められるスイングや弾道がより明確になることがスムーズなスイングにつながると話す。

昨季の強さを、超える強さを。“ドロー”というひとつのヒントを得たが、次戦以降も模索は続く。「自分の感覚とボールの数値をすり合わせながら、(ドローが)行き過ぎてもどうなのかな、という感じではあるので、程良くなるように継続していきたい」と静かに決意を口にして、コースを後にした。(静岡県浜松市/内山孝志朗)

内山孝志朗(うちやまこうしろう) プロフィール

1995年、東京都生まれ。2018年に新卒でGDOに入社し、CS、ゴルフ場予約事業、練習場事業を経て編集部へ。学生時代は某男子プロゴルファーの試合を見るためだけに海外に行き、観光せずにゴルフ場とホテル間をひたすら往復していた。訪れた町を散策することが出張時の楽しみ。

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