一打への執念が生んだウォーターショット
7年ぶりの新女王!大山志保、小4からの夢がついに結実
2006/11/05 18:00
首位と10打差で迎えた最終日。10番スタートのいわゆる裏街道に入った大山志保だったが、最終9番のティに立った時、その心臓は鼓動を早めていた。「これで決まるのかな」。まるで優勝争いをしているようだったと振り返る緊張の中、最後のパーパットを沈めると、結果17位タイでホールアウト。大山は、念願だった賞金女王のタイトルを確定させた。
今年は宮里藍の米ツアー参戦や、不動裕理の長期にわたる海外遠征など、女王候補のライバル達と年間を通して同じ土俵で戦ったわけではない。だが、それでも1億5千万を超える獲得賞金は過去最高を記録し、8月には月間3勝を達成するなど、その実績は新女王にふさわしい。
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下積み時代、師匠だった清元さんから言われたのは、「努力は裏切らない」という言葉。その言葉を地で行くように、大山は努力を続けた。
今年の始動は1月1日から。20m近い今年最初のパットがカップに沈み、「なんとなく(賞金女王を獲れそうな)予感がした」と大山は言う。年末もほぼ休みなく練習をしていた大山に、正月くらい休まないの?と聞くと、「元日から始めないと、さぼった気がして、その年1年調子が悪い」という返事。
「言わないでくださいね」。そういって教えてくれたのは、オフのトレーニング内容だった。「朝5時に起きで、ジムに行ってストレッチと軽い筋トレをしてから、1時間位ランニング。それから、朝ごはんを食べて8時前にコースに入って夕方まで練習。みんなには、コースに入る前の練習は秘密です」。だって、まねされたら嫌じゃないですかという大山に、本気を感じた。
「今まで支えてくれた両親や鶴見コーチ、ジェイ、ファンの人たちに感謝の気持ちで一杯です」。小学校4年の時に心に決めた賞金女王。その夢がいよいよ現実になるというミズノクラシック最終日、最近フィーリングが良くなく新パターに変えていた大山だが、「これまで一杯いいパットを入れてくれているので」と、この日は10年間使い続けたパターをバッグに入れた。「このパターで賞金女王を決めたかった」。長年支えてくれた道具にも感謝の気持ちを忘れなかった。
「つらい時もあったけど、良く頑張れたと思う。自分を褒めてあげたいです」。今年これまで休んだ試合は1試合だけ。愚直なまでの努力が、新女王を生んだ。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka