DJやミケルソンも愛用 PGAツアーで“グリーンメモ”が流行中
2018年 日本ツアー選手権 森ビル杯 Shishido Hills
期間:05/31〜06/03 場所:宍戸ヒルズカントリークラブ(茨城)
大切なものは目に見えない?レジェンドたちのゴルフワールド
◇国内男子◇日本ツアー選手権森ビル杯◇宍戸ヒルズカントリークラブ(茨城県)◇7384yd(パー71)
なにやら毎ホール話し込んでいるのである。そのたびに、ソン・ヨンハン(韓国)は目を見開いて、うなずいたり、首をひねったりしている。大きな身振りを交えて熱心に話しているのは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長だ。
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開幕前日のプロアマ戦。初めて青木会長と一緒にラウンドしたソンは、驚くばかりだったという。グリーンの芝目と傾斜、それがパッティングにどう影響するか?特に、ソンには見えない芝目が、会長には瞬時に分かることが驚きだった。75歳になっても衰えないレジェンドのタッチにも「天才です」と舌を巻くばかりだった。
「僕はグリーン面が白かったり、逆に濃かったりしたら芝目は分かるけど、ここのグリーンは分かりません」とソンは言う。青木会長は「まだ若いからなぁ」と笑うばかり。「最初は“あー、そうなんだ”。“へー”ってやっているうちに勝ったりする。このコースで2回勝っているのは宮本(勝昌)だけだろう?そんなことを気にしないでも1度は勝てるんだよ」と秘密は簡単に明かしてくれない。
今年4月の海外メジャー「マスターズ」。ジャック・ニクラスとゲーリー・プレーヤーの記者会見で、禁止が噂されているグリーンブックが話題になった。プレーヤーは「批判をするわけではないが…」という前置きをしたうえで、「トーナメントで選手たちがメモを見ながらどこにパットするか決めていることは、本当に理解に苦しむ」と話し始めた。
「私は世界中どのコースに行っても、そこでもう10ラウンドしたのと同じようにパットのラインを読むことができる。自分はプロゴルファーだし、それは“できなくてはいけないこと”。それにパットのラインを読んだり、性質を学んだりするのには特別な方法がある」という。
「歴代最高のパット名手であるボビー・ロックは、グリーンの読み方について、正直多くの選手たちが気づいていない、たくさんのことを私に教えてくれた。でも、いまの選手たちが事前に練習ラウンドをやって、試合で数ラウンドをしてもまだメモを見ているのは…(信じられない)。ジャック、どう思う?」
「君が言っていることは、絶対的に正しいよ」とニクラス。「スイングコーチがいて、メンタルコーチがいて…」。「シェフにパイロットがいて」とプレーヤーから合いの手が入る。「すべてがある。それにメモだ。しかもそれは(自分がラウンドして)90を切れないような人が作っている(笑)。自分にとってゴルフというのは、このゲームをどうプレーするか学習すること、そして自分が行うすべてのことに責任を持つことだ」とニクラス。「そして、それが楽しいんだよ」。
時代が違うことは分かっている。ニクラスも、もしいまの時代にプレーしていたら「自分も同じことをやっているだろうから、批判はできない」とフォローする。「でも、自分で全部やる方が楽しいし、その方がより良いゴルファーになれると思う」。ベン・ホーガンが一度もヤーデージブックを使っているのを見たことがないという点でも、うなずきあった2人だった。
深遠な自然の中で、あるがままプレーするのがゴルフゲーム。“風には色がある”という表現を聞いたこともある。レジェンドたちの目には、常人には見えないものも見えていたのだろう。(茨城県笠間市/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka
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