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Mt.Fujiで再会 バッバ・ワトソン旧知の日本人選手とは

スタートの30分前になってから、ようやくドライビングレンジに現れたバッバ・ワトソン。その姿を一目見ようと大挙したギャラリーの前で、マスターズチャンピオンは近づいてきた1人の日本人選手を見つけ、いかにも親しげに話し始めた。

静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで開催されている国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」2日目。貞方章男が、前年にはかなわなかった十数年ぶりの再会を果たした瞬間だった。

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「去年はSP(警備員)が彼の周りを取り囲んでいたから話せなかったんだけど…。きょう、練習場に行ったら(ワトソンの周囲にいたのは)マネージャーくらいで、これはいい機会だと思って」。2人の会話はもちろん英語。富士山の頂を見渡す練習場の一番端で、互いに笑顔をほころばせていた。

まだ中学生だった22年前に単身フロリダへとわたり、米国で腕を磨いた貞方。1つ年上のワトソンとはその頃からの顔なじみだ。「ジュニア時代からボールがよく飛んでいた」と当時を振り返る。

ワトソンはジョージア大で今田竜二と同窓だったことでも知られているが、同大に入る前はアラバマ州の短大に在籍。貞方にはその短大への進学を考えた時期があり、「自分が17歳、18歳の頃に一緒にコースで回ったことがある」という仲だ。

「僕は朝から彼のショットに見とれていた」と笑う貞方はこの日、6バーディ「66」をマークして通算9アンダーの6位タイで決勝ラウンドに進んだ。大小を問わず米国内のツアーでの武者修行を経て、日本ツアーに本格参戦してから今年で8年目。来季のシードはほぼ手中にしているが、目指すのは初勝利以外にない。

「(再会は)彼の方が驚いたんじゃないですか。僕はもちろん、彼がPGAツアーで活躍している限り知っている」と、ワトソンのことはテレビなどで遠く仰ぎ見てきた。だがいまここで、首位ワトソンとの間にある差はわずか3ストロークだ。若き日の旧友が傍らに収まった初勝利のシーンは、見上げる富士より美しいかもしれない。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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