石川遼、今季国内ツアー初戦で優勝 通算12勝目「また米国でがんばる」
2015年 ANAオープンゴルフトーナメント
期間:09/17〜09/20 場所:札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)
石川遼と「原点回帰」 1年2カ月ぶり勝利への紆余曲折
石川遼が“再びの原点回帰”で通算12勝目を奪い去った。主戦場の米国から一時帰国し、今季の国内ツアー初戦となった「ANAオープン」。4日間ただひとり60台を記録し、通算16アンダーで後続に2打差をつける完勝だった。
両サイドに木々がそびえ、粘り気のある深いラフが待ち受ける札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース。レパートリーのある攻め方を許容するコースで、石川は1Wを振り続けた。最終日は実に、パー3を除く全14ホール。今大会の初日の17日に24歳の誕生日を迎えたが、まるで10代当時を思い起こさせるような、アグレッシブな姿勢を保ち続けた。
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「今週はチャレンジして、20オーバーで堂々と予選落ちしてもいいという気持ちでプレーした」と石川は言う。前週のツアー外競技「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権 レクサス杯」で、22歳の堀川未来夢に1回戦で敗れた。思い切ってプレーしたルーキーに対し、クールに身構えて屈辱を味わった。「悔しくていい経験になった。堀川選手には感謝しないと。自分は守りに入っていた」。今週は、攻め抜くことを誓って迎えた“初戦”だった。
だが思えば、石川はここ数年で何度も「原点回帰」を誓ってきた。昨年7月に「セガサミーカップ」を勝ったときも、プロ8年目の今年を迎えた新春も、同じように。1Wで攻め、ピンを差すショットを放つことをプレースタイルの基本線にする、と。
しかし、米ツアーで試合をこなしていくうちに、その言葉はいつも薄れていってしまう。「成績に直結するスコアというところに相当な執着心がある」。厳しいサバイバルレースの中で、いつの間にかリスクばかりに目がいくようになる。「夕食のときには『全部ドライバーで行ける。そこにフェアウェイがあるから(笑)』なんて言えるんです。でもコースに来ると、3Wの方がいいかなあ、安全だよね…狭いから…なんてことが多い」
ギリギリで来季のシードを確保した3年目の2014-15年シーズンは顕著だった。昨年のセガサミーカップでバッグを担いだ佐藤賢和氏は、今年5月の米ツアーから専属キャディになった。10カ月ぶりにコンビを組んだ際、石川について「いろいろ考えすぎて、やりすぎているような感じ」がしたという。年末からスイング改造に取り組み、クラブを何度も替えていた。わずか半年の間に1Wを3機種替えて戦ったことは、キャリアで初めてのことだ。
度重なる紆余曲折が落ち着き始めたのは、シード確保が危うくなったシーズン終盤戦だった。「練習が“淡泊”になった。あまり多くのことを考えずにできるようになった」(佐藤キャディ)。スイングの修正ポイントを極力少なくし、シンプルに攻める。雑念を振り払って原点に立ち返ったときこそ、石川はスコアの面でも優れた結果を残せる。
8月の「クイッケンローンズ・ナショナル」で、リッキー・ファウラーと同組でプレーした。「リッキーも『(石川は)チャレンジしていない』と思っているはず。ラウンド中に話したりしていても、今の自分は、リッキーなんかにとって眼中にないと感じる」と言う。「ただ『きょうのゴルフなら…』という思いもある。シードを獲るゴルフではなく、優勝できるゴルフを目指さなくてはいけない」。米ツアーで勝つという目標のためには、彼らに追いつくためには、失ってはいけないものがある。
きょう「チャレンジしていく方が、先が明るい。先が見えてくる」と石川は再び誓った。日々揺れ動く自分に打ち勝つ――。その挑戦がまた始まった。(北海道北広島市/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw
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