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43歳の復活劇 矢野東が目指す「令和のスイング」

河野勝成コーチが解説

河野コーチにもう少し具体的に動きを解説してもらうと、次のようになる。

※スイングポジション【アドレス(P1)、テークバックでシャフトが地面と平行(P2)、テークバックで左腕が地面と平行(P3)、トップ(P4)、切り返しで左腕が地面と平行(P5)、切り返しでシャフトが地面と平行(P6)、インパクト(P7)】

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テークバックでシャフトが地面と平行になったとき(P2)、シャフトが飛球線方向を向いていてはフェースが開いていることになります。胸が右45度を向いていれば、シャフトも同じく右45度。クラブが胸の正面にあり、フェース面が背骨と平行なのがスクエアで、上げる時も下ろす時もスクエアが理想です。

よくインパクトの瞬間に「胸が残って、腰が開いて…」と言いますけど、PGAツアー選手のインパクト時の捻転差は平均13、4度しかありません。基本的にはあまり捻転差を作らない方がいい。むしろ、胸の方が速く回らないといけないんです。

パワーとスピードを生むには上下の力を利用します。具体的にはP3からP4で(身体とクラブの)同調が外れます。その状態で腰を左に切ってターンすると、クラブが立って下りたり、振り遅れたりして、アウトサイドイン軌道になってしまいます。なので、下から上げてきた道を戻すように、ヘッドを遠くに下ろすように下方向に力を掛けます。そうすると入射角が緩くなって、インパクトゾーンが長くなる。(左側の)ふところが広いので、そのまま左足で伸び上がる。それができると、あまり手のアクションはいりません。もし切り返しから捻転差が減ってこないと、ダウンスイングでフェースが開くので(インパクトで)フェースを返さないといけなくなります。

ダスティン・ジョンソンキャメロン・チャンプが、こういったスイングをしている好例です。理想のスイングはサム・スニードですね。

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「確かにサム・スニードやベン・ホーガンのスイングを見ると、そうやって動かしているんです」と矢野もうなずく。「結局ゴルフスイングって、着目するポイントによって全然見え方が変わってくるんです。ただ、今ほど科学的にスイングが語られたことはないですよね」

ファイブエレメンツには、高校入学を控えたアマチュアの清水蔵之介さんも通っている。矢野から見れば、若くして最先端のスイング理論に触れられる今の子達が羨ましい。

「(この理論を)もっと昔に知りたかったです」と矢野は言う。「僕もスイングオタクで現役時代にベン・ホーガンの『モダンゴルフ』からひと通り全部読んでいろんな人がいろんなことを言うのも練習の中で体現してきた。でも、こうすればうまくいくっていうのが1個もなくて、本当に苦しんだんです。ケガも多くてヘルニアもやったし、ひじの手術もした。その度にケガをする人としない人の違いはなんだろうってずっと考えていました。よく才能とか言いますけど、飛ぶ人と飛ばない人の違いもうやむや…。ここ(ファイブエレメンツ)でアドレスの効率的な骨盤や身体のポジションを教わってやったときに、びっくりするくらい身体が動いたんです。たぶんプロになって今が一番、身体が動きます」

河野コーチも「末永くゴルフをするには腰回りがすごく大事です」と同意する。「腰椎は回旋角度が少ない部位なので、捻転差が少ない方が腰椎にも優しいです」と、身体負担という観点からもジュニアたちにこのスイングを勧めている。

矢野は「僕が教わってきたのは平成のゴルフ理論です。『令和のスイング』を教えてあげないと、日本からメジャーチャンピオンは出てこない。それをやりたいし、これを多くの人に知ってもらいたい」と言う。「彼(清水さん)が高校在学中にツアー優勝させたい」という野望も明かす。一方で自身が目指すものは何なのか?「僕ですか?僕は河野コーチが言うようなスイングを50歳までにできればいい。ケガをしてダメになって、また50歳くらいで最新のスイングで勝つっていうのはカッコいいじゃないですか!」

矢野はまだ43歳。“カッコいい”シニアになるまで、時間はまだたっぷりと残されている。(取材・構成/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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