恥ずかしかった“メジャー全敗” 今平周吾の2020年の挑戦
2019年 ダンロップフェニックストーナメント
期間:11/21〜11/24 場所:フェニックスカントリークラブ(宮崎)
柏木キャディが振り返る“栄光のダンロップフェニックス”
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 最終日(24日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎)◇7027yd(パー71)
自転車をやぶの中に乗り捨てて、松林からこっそりコースに忍び込んで観戦したのは、もう40年も昔の小学生時代。尾崎将司が最終ホールの逆転イーグルで2連覇を達成した1995年に、初めて佐々木久行のキャディとして参戦した。宮崎県高鍋町出身の柏木一了キャディは、今平周吾と組んだ今年、ついにフェニックス初制覇を成し遂げた。
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95年からは、毎年フェニックスで戦っている。「ここは、自分たちが感じる風と、上空の風がまったく違ったりする。それに、もともと斜めの土地に作ってあるから、グリーンの傾斜やスピードが難しい」という。
大会3日目、ティショットを右に曲げた8番では柏木キャディの経験が生きた。木に当たって松林の奥まで入った球を見て、すぐ右隣の4番を使うことを助言した。左のフェアウェイ方向に戻そうとすれば、2mほど上空を横切る松に当てないように低く抑え、手前のラフや、突き抜けも警戒しないといけない。ミスをすればダボやトリにもなりかねない。
「あっち(4番)からでも結構木が高いので、左に出そうと思った」と今平は言う。「でも、柏木さんが確率的にこっちの方がいいって言うので。昔からコースを知っている人だから、正しいんだろうなと思ってやった」とナイスボギーで切り抜けて、直後の9番できっちりバーディを取り返した。
柏木キャディは、「いつも言っているけど、我慢すると必ず良いことがあるんです。我慢することで次が来るって。あの8番は本当に“キー”だったと思う」と述懐した。
しかし、時代が変わり、大会の特別感が失われつつあることに、柏木キャディはちょっぴり寂しさも感じている。「昔は、夜の町で“フェニックス・インフォメーション”っていって、次の日のペアリングをお姉さんたちが配っていたんです。空港から町中まで、大会の旗もいたるところにあって…」
「(アーニー)エルスと練習ラウンドしたことや、毎日ペアリングが変わって、初日にスコット・ホークと加瀬(秀樹)さん、2日目に中嶋(常幸)さんと青木(功)さん、3日目にピーター・シニアとロバート・ガメス、最終日に丸山茂樹とビジェイ・シンと回ったこともある。すっごい豪華」
今週、コースには柏木さんの両親の姿もあった。78歳になる母・昭子さんは、毎日18ホールを付いて歩いてくれたという。過日の雰囲気を知る人たちの目に、今年の大会はどう映っただろうか。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka