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今平周吾と頭を丸めた“ダメ”キャディ・オブ・ザ・イヤーが歩む道

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 初日(16日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎) ◇7027yd(パー71)

年に一度、宮崎の夜の町にプロキャディたちが集まって、酒を酌み交わしながら、その年のナンバー1キャディを表彰する。知る人ぞ知る男子ツアーの恒例行事だ。今年は40人以上が集まった火曜日(14日)の夜、キャディ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは、宮里優作とともにこれまで今季最多の3勝を挙げた青山邦仁さんだった。

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一方で、“ダメ”キャディ・オブ・ザ・イヤーという裏MVPも存在する。栄えある(?)今年の受賞者は柏木一了(かずのり)さん。10月に中国・上海で行われた「WGC HSBCチャンピオンズ」で、今平周吾のキャディを務めて、スタート時間に間に合わず失格になるという失態をやらかした件が決め手となった。

柏木さんは「責めは自分がすべて受ける」と、帰国直後に沖縄で頭を丸めた。それでも、谷口徹に「俺より長い!」と突っ込まれる始末。短いのと、薄いのは違う!という返しをしたかどうかは定かではないのだが…。

中国での一件後も、2人はコンビを続けている。今平は「次に向かってやりましょう!」と、すぐに気持ちを切り替えて前を向き、先週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」では8位に入った。今週の「ダンロップフェニックス」でも、ブルックス・ケプカと回った初日を4アンダーとして首位と2打差の4位発進。賞金ランクは5位につけ、残り3戦で賞金王の可能性も残している。

5月の「関西オープン」でツアー初優勝を飾った今年、柏木さんは今平の精神面の変化を感じている。振り返ったのは、7月の「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」。サンデーバックナインで単独首位に立ったが、チャン・キムに逆転を許して1打差を追う形となった最終18番(パー5)。3Wで2オンを狙ったが池に落とし、今平はクラブでキャディバッグを叩きつけた。一部で批判された行為だったが、柏木さんは「うれしかった。そういう悔しさが出るのは、自信がついている証拠だから」と、好意的に受け取った。

寡黙で、あまり感情を表に出さないのがこれまでの今平だった。だが「最近は『あすから頑張りましょう!』とか言うんですよ。いままで、そんなことは言わなかったのに…」と、熱い言葉も聞かれるようになってきた。そして、こう付け加えた。「賞金王もあきらめてないですよ!」

2人の歩みは続いている。過去の失敗も、それを乗り越えれば糧になる。ちなみに、柏木さんが“ダメ”キャディの副賞としてもらったのは目覚まし時計。裏にはしっかり『中国製』と書かれていた。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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