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中国経由で米国へ 20歳の小斉平優和がたどる現代版シルクロード

中国南部、広西チワン族自治区で6月に行われたPGAツアーチャイナシリーズ「桂林選手権」の最終日。打ち下ろしのパー4で、小斉平優和(20)の放ったティショットはクロスバンカーにつかまった。だが、行ってみるとバンカー内にあるはずの球が見当たらない。よく見ると、転がった球の跡を横切るように、人の足跡がついている。誰かが持ち去ったとして無罰でバンカー内にドロップしたが、目玉となってこのホールをボギーとした。最終結果は12位タイ。そんなことにも、いちいち動揺してはいられない――。

今季のPGAツアーチャイナにフル参戦している小斉平は、全14戦のうち11試合を終えて、賞金ランキング6位につけている。シーズンを終えて同ランク5位以内なら、米下部ウェブドットコムツアーの来季出場権を確保できる。とはいえ、1位はフル出場が可能だが、2-5位は出場試合が限られる。10位以内はウェブドットコムツアーのQスクール(予選会)にファイナルステージから出場できるので、小斉平は2位以下ならQスクールを受験するつもりだという。

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日本人初優勝を逃す

7月に山東省で行われた「煙台選手権」では、優勝争いの渦中にいた。3日目を終えて1打差の単独首位。調子もよく、気持ちもうまくコントロールできていた。最終日も、前半を4アンダーで回って2位のジョセフ・ウィンスロウに3打差とした。「これはいけると思った。それが一番ダメでした」と、小斉平は苦笑いし頭をかいた。

10番でウィンスロウがバーディを獲って2打差になった。11番(パー3)は先に打ったウィンスロウが、グリーン左端に切られたピンを狙ってショートサイド(左)のラフに外した。「左には外しちゃいけない」と思ったが、小斉平も同じところに外してしまう。寄せてパーとした相手に対し、小斉平は3パットのダブルボギーで並ばれた。

それでも、15番(パー5)でイーグルを奪って、再び1打リードした。「また、チャンスだなと思った」と正直だ。だが、続く16番(パー3)でウィンスロウはグリーン右手前からチップインバーディ。小斉平は1.5mを外してボギーとし、ついに逆転を許した。最終18番もバーディとした相手に突き放された。

2位に終わって、日本人初のPGAツアーチャイナ優勝には届かず「気持ち的に油断したところがダメでした。最後まで気を抜かずにやらないといけなかった」と反省する。

国内セカンドQTはぶっちぎり首位

三重県で今月行われた国内ツアーのセカンドQTは、4日間通算21アンダーで2位に5打差をつけるぶっちぎりで通過した。「何も難しくなかったので、落ちることはないなと思いました。グリーンが軟らかくて(バックスピンで)戻ってくるくらいだったので、ラフから打ってもちょうど良かった。70ホールくらい、ボギーを打たなかったです」と頼もしい。

新しいゴルフ場の多い中国は、近年のデザイン傾向でフェアウェイが広く、グリーン周りが難しいコースが多い。一方で、日本はティショットの落としどころが狭く、逆にグリーン周りはやさしいコースが大多数。「去年、日本でチャレンジに出たときは、だんだん1Wが振れなくなった。でも、中国でウェッジやアイアンの練習ばかりしていたら、1Wも振れるようになってきた。いまが一番、調子がいいと思います」と口調も自信に満ちている。

昨年は国内ツアーのサードQTの申し込みに間に合わず、受験できないというミスをした。「でも、いろんなツアーがあるし、そんなに深く考えなかった」と、年末にアジアンツアーや中国ツアー、PGAツアーチャイナのQTに挑戦した。人間万事塞翁が馬。中国で外国人選手の友達もでき、日本人選手も常時10人ほどがツアーにいる。オフィシャルホテルに泊まれば快適に過ごせるし、最近は日本人選手と部屋をシェアすることも少なくない。

「いまが一番楽しいです。こんなチャンスはないと思うので、ぜひアメリカに行きたいですね」と、夢は新大陸へとつながっている。PGAツアーチャイナはシーズン残り3試合。日本を飛び出し、中国経由で米国へ。現代版シルクロードの先には、まだ見ぬ世界が広がっている。(編集部・今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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