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“バーチャル・レッスン”の未来はすぐそこに 最新技術はゴルフを変えるか

2024/03/18 16:59

いまから10年前を思うと、周囲には“ガラケー”を使う人がまだ一定数いて、テレビ離れは話題になっておらず、ティックトックはサービスを開始してすらいなかった。それが、いまは? 元々の常識は新しい常識に取って代わられ、数年前には予想だにしなかった生活基盤が確立した。コロナ禍を経てデジタル化が促進されたことで、そのスピードは加速度的に上がったようにすら思える。

2月29日(木)に都内で開催された「SPORTS INNOVATION STUDIO デモデイ&SCRUM CONNECT 2024」。その裏では日米のスタートアップ企業によるデモブースが用意され、最新テクノロジーを体験することができた。技術の発達は我々を、ゴルファーをどこへ導くのか? 気になったものを紹介する。

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新時代のゴルフ体験はバーチャル空間で

VRやARといった「XR(クロスリアリティ)」分野の発展が目覚ましい。実は2019年には『みんゴル』のVR版が発売されており(早い!)、家にいながらゴルフ場でプレーしているかのような体験をすることができる。

黄色っぽい光に満ちたデモブースで大型のモニターを構え、異彩を放っていたのが米国の「ARCTURUS(アークトゥルス)」だ。人物などの空間データを迅速に3D映像化する「ボリュメトリックビデオ」を開発。現場では実際にゴーグルをつけて体験できた。

ゴーグルを装着すると、目の前に筋骨隆々の男性2人が現れた。リングで格闘技をしているところで、筆者はその真横に立っていた。通常であればレフェリーのいる位置だ。右に歩くと実際にリング内を移動するように視点が変わり、しゃがみこめば床でもつれ合う選手と目の高さが近くなる。苦しそうに顔を歪めるところまで見えるのだから驚いた。

CEOのカマル・ミストリー氏は次のように語る。「ボリュメトリックビデオは、これまでのどんな映像とも違うもの。人々は映像の世界に完全に没入して、本当にそこにいるような体験ができる」

この技術をゴルフで活用するとなればどうだろう? レッスンにおいては、スイングを撮影する環境さえあれば、どこにいても精密なスイング分析を受けられるようになるかもしれない。またトーナメント観戦では、これまでには考えられなかった“特等席”からプロのスイングを堪能できるようになるだろうか。

同イベントには、2025年に開幕する、リアルとバーチャルが融合した新時代のゴルフリーグ「TGL」を主催するトゥモロースポーツの副社長も出席していた。ハイテクノロジーとゴルフが融合した新リーグの話題をミストリー氏にすると、「(TGL側とは)もう話をしてあるよ」とのことだった。

クラブハウスに自分専用メッセージ!?

初めて訪れたゴルフ場で更衣室やレストラン、スタートティがどこにあるか分からず、迷った経験のある人は少なくないだろう。複雑なつくりの施設では、館内マップを見てもちんぷんかんぷん…。では、入口などに設置されたディスプレイが、“自分のためだけ”にメッセージと行き先を示してくれていたらどうだろう? なんだか魔法のように聞こえるが、現代技術はそれを実現できる。

米国のスタートアップ「Misapplied Sciences(ミスアプライド サイエンス)」が開発したのは、見る人によって映像が変化する次世代のディスプレイ。1台で100人が見れば100通りの映像がそこに映し出されるという。すでにデトロイト・メトロポリタン空港に実装されており、個人に合わせたフライト情報が表示されるようになっている。

「大きなLEDスクリーンが名前を呼んで迎えてくれるのを想像してみて」とCEOのアルバート・ウング氏は目を輝かせる。「特別なゴーグルは必要ありません。私たちは新しいテクノロジーを通じて、この魔法のようなパーソナライズ化された世界を実現する」

ゴルフ場に入るとディスプレイに「ようこそ、○○さま!」と表示がされ、次に自分がどこへ行くべきか、スタート時刻はいつなのか、前回のスコアはいくつだったのかを知らせてくれる…。導入されればリアルの体験価値を上げてくれることは間違いなさそうだ。

たったの数年で世界は大きく変わる。10年後のゴルフ界はどのようになっているのだろう? 一つ言えるのは、10年前にいまを想像できなかったように、10年後の世界もきっと予想外だろうということくらいだ。(編集部・合田拓斗)

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