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全英オープン
期間:07/16~07/19  場所: セントアンドリュース(オールドコース)(スコットランド)

オールドコースのバンカーたち

「全英オープン」開幕を前に13番のバンカ 「全英オープン」開幕を前に13番のバンカーで練習するブランデン・グレース(Andrew Redington/Getty Images)

ここロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュースがゴルフ発祥の地であるならば、このロイヤル・アンド・エンシェント(高貴にして古来)な競技における伝説的にして歴史的な112個の砂の罠を持つオールドコースは、ポットバンカー発祥の地ということになるだろう。

ウォーキンショウの墓、ライオンの口、校長の鼻、といった具合に、全てのバンカーがそれぞれ固有のロマンチックな名称を持ち、豊かでストーリーの詰まった過去に彩られている。そそり立つ壁、時として身の毛もよだつ深さのハザードは、長年にわたり世界最高峰のゴルファーたちの運命を左右する役割を担ってきた。

多くの崇拝を集めるオールドコースで、バンカーがないのは1番と18番のみ。他の16ホールには、大小さまざまなバンカーが散在している。

2000年にタイガー・ウッズがここセントアンドリュースで「全英オープン」を制した際、大会を通して1度もバンカーにつかまらなかったのは有名な話だ。
その結果、ウッズは8打差の勝利を飾るとともに、大会最小スコア記録となる通算19アンダーで4日間をラウンドした。

となると、バンカーを避ける、あるいはこの砂の毒牙から1打で脱出することが、セントアンドリュースで栄冠をつかむ上で最も重要であるのは明確なところだ。
「全英オープン」の開幕が間近に迫ってきた今、今回は多才なゴルフ伝道師である欧州ツアーのコメンテーター、ケン・ブラウンとともに有名な5つのバンカーを紹介することとしよう。

■ スペクタクルズ ―5番ホール

オールドコースでゴルファーが最初に遭遇するパー5に佇むスペクタクルズバンカーは、グリーンから約60ヤードのところに位置する、フェアウェイの左右両側にある小さいながらも深い2つのポットバンカーで、バンカーショットに必要される飛距離から、この競技で最も難しいバンカーとして世に知られてきた。

飛距離の出ないゴルファーはスペクタクルズの手前にレイアップし、砲台グリーンへ向かって短めの第3打を打つことになる。とは言え、ほとんどが2オンを狙うプロ選手にとっては、この一対のバンカーは、まずプレーには関与しないことになる。
「プロにはほとんど影響を及ぼさないだろう」と語るブラウン。「ティショットをラフに打ち込むか、あるいは強烈な向かい風が吹いていない限り、プレーには関係してこないが、ハンディキャッププレーヤーには問題となるんだ」。

「スペクタクルズは丘の中腹に作られた最も深い2つのバンカーだ。グリーンまでの距離が50、60ヤードとはいえ、グリーンに乗るチャンスは五分五分で、しかもグリーン自体の長さが100ヤードもあるので、実際のピンまでの距離は130ヤード以上もあるんだ」

■ ストレイス(大渓谷)- 11番ホール

間違いなくオールドコースで最もタフなパー3と言える11番のグリーンを守るストレイスバンカーは、このホールにいくつもあるバンカーの一つで、コースの中央やや右寄りに位置する。
「全英オープン」の日曜日のピンは、伝統的にストレイスの先に切られるため、このバンカーが少し距離の足りないティショットを待ち受けることになる。

ブラウンはこのバンカーについてこう語った。「昔は、フラッグは常にストレイスバンカーの後方に位置していた。というのも、以前はあの場所しかピンを切るのに十分な広さを持っていなかった。ピンはバンカーから4、5歩のところに切られたので、あのバンカーは悪魔だったんだ」。

「ボールがあのバンカーに直接入った場合、目玉となり、大きなトラブルに陥ることもある。最近は、あのバンカーをそこまで考慮する必要はなくなってきたが、強い向かい風が吹くと問題となるし、あのアゴの高さだから、アンプレイアブルなライに直面する可能性もあるんだ」。

■ コフィンズ(棺)-13番ホール

不気味な名前がつけられたのは、その名の通り命取りだからだ。コフィンズバンカーは3つのサンドトラップをまとめた通称で、13番ホールのフェアウェイ中央に配置されたバンカー群はプロにとっては、ティから300ヤード弱の場所に位置している。

この難しいパー4で好スコアを出すには、コフィンズを避けるのが肝要であり、飛距離と正確性に秀でた選手たちは、コフィンズを越えたやや左サイドを狙うことになる。とはいえ、少しでも手元が狂えば、悪魔のごとく難しい第2打が残ることになる。

「13番のティショットではコフィンズバンカーのどちら側へ打っていくのか決断しなくてはならない」とブラウン。「真っ直ぐ右側に打っていくか、あるいはピンの位置によっては隣接する6番のフェアウェイを狙うこともできる。貪欲なバンカー群だから、少しでも近いところに打っていくとボールはバンカーに吸い込まれてしまう。あのバンカー群が手厳しいのは、まさにティショットを打っていきたい場所に配置されているところで、コースをとても戦略的、戦術的にしている。とにかく、ここではあそこに入れないことだ。あそこからだと2オンは不可能なのだから」。

■ ヘル(地獄)-14番ホール

オールドコース最大にして最も忌まわしく、明らかに最も恐ろし気な名称を持つヘルバンカーの面積は300平方メートルで、深さは3メートルあり、ゴルフの歴史の中で最も成功を収めた選手にとっても面倒な存在となった。

メジャー18勝のジャック・ニクラスは2000年の「全英オープン」でヘルバンカーにつかまり、このパー5でクインタプルボギー(+5)を叩いたのである。まあ、この砂の化け物でラウンドを台無しにされたゴルファーにとって、この事実は多少の慰めとなるかもしれないが。

「当時、14番ホールは世界最高のパー5の一つだったが、近代テクノロジーにより、このホールはかなり容易になった」とブラウン。「今のツアープロのプレーにはあまり関与しないが、広大でアゴの高さは4.5メートルもあるので、もし地獄に落ちてしまえば、しばらくそこにいることになるかもしれない」。

■ ロード-17番ホール

パー4のグリーン左前方に巣くう極悪非道のポットバンカーであるロードバンカーは、セントアンドリュースのオールドコースで最も伝説的なシンボルの一つといえる。
1978年の「全英オープン」3日目に首位タイにつけながらも、このバンカーに入れて脱出に4打を要した日本人ゴルファー・トミー中島(中島常幸)にちなんだ「ナカジマの砂場(別名:トミーズバンカー)」のニックネームで知られるロードバンカーには、2000年に米国のデビッド・デュバルも屈服させられている。

その年の勝者となったタイガー・ウッズをわずか3打差で追っていたデュバルはフェアウェイ真ん中からこのバンカーに打ち込み、2打で脱出できず、その後バンカー内でのペナルティドロップを余儀なくされ、このホールで8打をたたいた。

「確実にゴルフ界で最も有名なホールであり、グリーン面に位置するこのホールたった一つのバンカーが戦略の全てを左右することになる」とブラウン。「あのバンカーは、広げられたり狭められたり、ボールが落ちやすくなったりそうでなかったりと、幾度となく手を加えられており、現在はこれまでより少し簡単になっているかもしれない。というのも、ボールはバンカー中央に落ちるようになっており、脱出の成功率が高まっているんだ」。

「今週は少なくとも3日目までは、ピンはロードバンカーと同じ高さに切られるだろうから、選手たちはどうやってもバンカーに入らないクラブを選択し、短めに打ってそこから上げて寄せることになるだろう」

「しかし、ロードバンカーには遠回りできる側面もあるが、巌のように立ちはだかる側面もあり、グリーンの中央に佇む幅12ヤードのバンカー越えを狙う選手たちをぞっとさせるんだ。初めの数日間はプレーに関係してこないとはいえ、日曜に立ちはだかることになるのは分かっているから、アプローチを打とうと構える選手たちに、あのバンカーは(日曜はよろしくという感じで)ウィンクを投げかけるのさ」。


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