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小林至博士のゴルフ余聞

ゴルフ人気はホンモノかもしれない/小林至博士のゴルフ余聞

2022/08/30 15:06

ゴルフ人気はホンモノかもしれない-。先日、ゴルフ用品最大手キャロウェイの2022年上半期の業績が史上最高となったことが公表され、今後の業績見通しも上方修正されたのだ。アメリカは、コロナ禍の制約・自粛が続くウィズコロナの日本とは対照的に、年明けからフルオープン、つまりポストコロナの時代に入っている。

ゴルフが、コロナ禍において感染リスクの低い貴重な娯楽として人気が高まったことは様々報じられており、ベテランゴルファーであれば練習場やコースなどで実感もしていることと思う。

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コロナ禍以前、ゴルフ産業は長期低迷にあえいでいた。最も顕著だったのがわが国で、プレー人口は1994年の1500万人をピークに減少し続け、2019年には600万人を割り込んでいた。少子高齢化の人口減社会の日本はあらゆる産業が縮小しているので、さほど驚きはないかもしれないが、今も人口が増え続けている若くて元気な米国でも、ゴルフ市場は縮小の一途をたどっていた。2003年を境に減少に転じ、2019年までの17年間で700万人減、3000万人を割り込んでいたのだ。

ゴルフ産業における市場規模は米国が40%を占めダントツだが、日本もこれだけ衰退してなお20%を占める世界2位のゴルフ大国である。両国における市場縮小の影響は甚大で、スポーツ用品最大手のナイキと2位のアディダスはゴルフ用具から撤退した。

そんなゴルフ産業だけに、コロナ禍でゴルフ人口がいまだかってない増加をみても、そしてその増加要因が喉から手が出るほど欲しい若年層であったにも関わらず、ブームは一過性に終わるのではないかとの懐疑的な見方をする向きも多かった。

キャロウェイの業績発表は、そんな心配は杞憂であると思わせる内容であった。上半期の売り上げは昨年同期比38%増、通期の予測40億ドルは達成すれば対前年比26%増になる。ちなみにコロナ前の2019年、同社の売り上げは17億ドルだったから、コロナ禍を経て2.4倍に増収ということになる。貢献度が最も高かったのが、2021年に買収したトップゴルフである。

トップゴルフについては昨年9月29日付の本稿で、その驚異的な人気拡大について述べているが、2022年上半期の売り上げの34%を占めており、43%を占めるゴルフ用品に次ぐ主力事業に成長している。

業績を伸ばしたのは、新市場を開拓したキャロウェイだけではない。タイトリスト、フットジョイ、スコッティ・キャメロンなどのブランドを展開するアクシネットは、証券取引におけるティッカーシンボル(日本でいう銘柄コード)がGOLF(キャロウェイのそれはELY、創業者のファーストネームである)という110年の歴史を誇る老舗だが、ゴルフ用品販売が好調に推移し、2021年度の上半期を上回る売り上げを達成している。

コロナ禍を奇貨として成長の道筋が見えてきた感のあるゴルフ産業は、サウジアラビアからすると、油田が新たに見つかったような気がしているのかもしれない。(小林至・桜美林大学教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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