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全米シニアOPに臨むチャンピオンたちの想い:T.ワトソン

by小松直行

1999年にシニア入りをして以降、トム・ワトソン(52)は3勝をあげ、念願の全米プロシニアというタイトルもものにした。今年で3度目のチャレンジとなる全米シニアオープンを控え、舞台となるCaves Valley での記者会見では「目標は勝つこと。疑いもなくそれがここにいる理由です」と語ったワトソン。米国男子ツアーで34勝、メジャー8勝という輝かしい戦績を誇る大ベテランでありながら、いまだにメジャーを前にして緊張しているというのだ。

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「その通りです。大きなチャレンジですから楽しみにしています。ここでもそうですが、メジャーでは、教科書にある定石通りのプレーが必要。フェアウェイにボールを置き、パットをそつなく決めなければなりません。でも、最終的にはタフなコースをプレーするのを楽しむということが、私にとっての定石なのです」

全英オープン5勝。そのコースを見ればワトソンの意味するところもうなずける。カーヌスティー、ターンベリー、ミュアフィールド、ロイヤルトルーン、ロイヤルバークデール。1975年のカーヌスティーはトニー・レマ、ベン・ホーガンに次いでアメリカ人として初出場での優勝だった。

全米オープンへの出場は去年から途絶えたが、1982年のペブルビーチでの全米オープンでは首位のジャック・ニクラスがクラブハウスで待つ中、17番で深いラフからチップインをものにして優勝につなげたワトソン。レギュラーツアー時代、たびたび見せてきた信じられないようなプレーは、いまでもワトソンのオーラとなっている。

火曜日にはメジャーリーグ(野球)のヤンキース対オリオールズ戦で始球式に出た。2001年は肘の怪我で思うようにプレーできなかったワトソンだが、今年の体調は万全とのこと。Caves Valleyでのプレイは初めてだが、それについてはこんなふうに語っていた。

「外野手としてリグレーフィールドとか、他の行ったことのない球場で試合をするようなものです。外野の壁がどこにあるのかをまず把握しなければなりません。ゴルフでもそれをしなければならない。どこまで行くと壁にぶつかってしまうのか、どこにいれば大丈夫かを把握しないと行けません」

いくつ歳を重ねても、自分の中のゴルフが老いることはないのではないか。それはゴルファーの中に豊かに蓄積され、たとえばヘール・アーウィンの煌めくようなショットの切れ味になり、トム・ワトソンの穏やかな笑みに漂う品格となるのだ。今年も全米シニアオープンを初日からライブで見れば、シニアの試合がかつての名選手たちの同窓会ではないことがわかるだろう。そして我々アベレージゴルファーの向かう先も、おそらくは同じ世界にあることが見えてくるような気がする。

<参考文献>
* http://www.ussenioropen.com/PRESS/tom_watson.html

著者プロフィール
小松直行(こまつ・なおゆき)

1960年横浜生まれ。GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)スタッフライター。CS放送におけるゴルフ中継アナウンサーとしても活躍中。筑波大学卒。東京大学大学院修士課程修了、同博士課程中退。専門はスポーツ社会学。資生堂研究員、日本女子体育大学専任講師を経て今春よりフリーランスに。同大学非常勤講師として教壇に立つかたわら、スポーツの伝え手たらんと鋭意修行中。テレビ朝日『ニュースステーション』リポーターをきっかけに、CNN『東京プライム』のキャスターを10年間つとめた。著書・訳書多数。ホームコースはカレドニアンGC。HD14。

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