松山英樹に聞きたい72のコト 【DAY1】~振り返るキャリア~
松山英樹に聞きたい72のコト 【DAY4】~PGAツアーの魅力~
2015年末 GDOインタビュー
米ツアーで戦う松山英樹選手への、2016年を前にしたGDOニュース編集部の独占インタビュー。最終回の【DAY4】は、主戦場としているPGAツアーについて。松山選手はアマチュア時代に日本で育ち、プロ転向した2013年にはいきなり日本ツアーで賞金王に輝きましたが、同年秋から、自身のメインツアーを米国に移しました。
世界最高レベルのフィールドで戦う難しさ、日米のコースの違い、「日本オープン」についての思いや、米ツアーでの仲間についても語ります。
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<Q1:米ツアーで戦う上で大変なことは何ですか?>
「移動、コースの違い、選手層などでしょうか。PGAツアーは時期によって“西海岸での連戦”、“フロリダなど南部での連戦”…といった形で、無理なスケジュールにならないように配慮されていますが、それでも移動の距離は日本ツアーよりも長い。日曜日(最終日)もなかなか自宅までは帰れません。コースも僕はまだ知らないところがたくさんあるので、それを克服しようとするエネルギーがかかります」
<Q2:米ツアーは地方によって芝が違うといいますが、その差を教えてください>
「PGAツアーの連戦を日本で例えるとするなら、毎週、本州とは芝の種類が違う北海道と沖縄で試合をしているようなもの。日本の本州などに多い『野芝』のコースが基本的にありません。『野芝』に唯一近いのが、シーズン最終戦(ツアー選手権byコカ・コーラ/ジョージア州イーストレイクGC)のフェアウェイだけ。西海岸などに多い『ポアナ芝』は(1日での)成長が早いので、グリーンがボコボコになりやすく、ボールの跳ね方が不規則。フロリダなどに多い『バミューダ芝』は順目と逆目でスピードの差があって、アプローチの止まり方も異なります。フェアウェイからのアプローチも芝が向いている方向によって難度がまったく違う。『ベント芝』も日本の北海道のものとは少し違い、根が太くて粘り強く、短くカットされていてもクラブヘッドが抜けにくく感じます」
<Q3:米ツアーの選手層の厚さは、どんなときに感じますか?>
「最近はウェブドットコムツアー(米下部ツアー)から上がってきた選手がすぐに優勝したり、(元世界ランク1位の)ルーク・ドナルドのシード獲得がギリギリだったり、アダム・スコットがプレーオフの2戦目に進めなかったり…ということが平気で起こっている。調子が悪ければ、どんな選手でもすぐに落ちてしまう。レベルの高さを感じます」
<Q4:米ツアーでプレーする選手と日本ツアーの選手との違いは何ですか?>
「コースがまずは違うので、一概には言えません。普段から、それぞれが違うコースの攻め方をしていると思います。アメリカのコースはまず、基本的にOBが少ない。大きく曲げてしまったら、そこからどうリカバリーするかという考えでプレーを進めます。曲げたら確かに不利だけど、ナイスリカバリーをすれば、パーで上がれるかもしれない。けれど、日本の狭いコースでは、大曲がりするとそうはいかない。まずOBにしないことで、選手の技量が試される。ただまっすぐ飛ばすだけならば、僕は日本ツアーの選手も引けを取らないと思う。ただ、PGAツアーの選手はそういう広いコースでプレーしているから、振りっぷりがいい。飛距離も違ってきますよね。ただ、日本でしっかりとした成績を出して、環境を整えれば、海外でもある程度の成績は出せるのかなと感じます」
<Q5:米ツアーと日本ツアーでは会場の練習施設も違いますか?>
「そこは全然違います。ドライビングレンジの広さはもちろんですが、一番はショートゲーム用の練習場に違いを感じます。僕はプロになって、日本では1年しかプレーしませんでしたが、試合の会場内で立派なアプローチグリーンがあるところとが少なかった気がします。傾斜や段差がたくさんあるグリーンを、ぐるりと一周できて、30ydから40ydくらいの距離を練習できる施設がない。国内メジャーをやるようなコースでも、意外となかったのは残念。大きな練習場はそれだけメンテナンスが大変で、普段のコースの営業面を考えると、難しいことなんだろうなと思います」
<Q6:米ツアーの選手の練習量はやっぱりスゴい?>
「コースで長い時間をかけて練習している人は、日本の方が多いんじゃないですかね。アメリカにも長く練習する人はいますけど…。ただ、ボールを打たない分をフィジカルトレーニングに当てている選手が多い。バランスよくやっているのは海外選手のほうが多いかもしれません。日本では、ボールを打つことに集中している気がします」
<Q7:海外の選手のトレーニングの意識は高いですか?>
「間違いなく高いと思います。ただ、アメリカのホテルには決して高級でなくても、基本的にジムの施設が付いています。日本では、なかなかそうはいかない。その違いは大きい。海外の選手はみんなワークアウトが好きなのか、ホテルのジムでも結構みんなと会いますよ」
<Q8:ラウンド中以外で、米ツアーで戦う上で感じることは?>
「まず選手に対するホスピタリティが素晴らしいことです。“悪口”だと捉えられたくないですが、日本ツアーではまず試合に出場するだけで、毎週のレジストレーションのときにお金が必要です(男子ツアーは1試合あたり税込み1万800円)。クラブハウスでの飲食にもお金がかかる。アマチュア時代も試合でプレーフィがかかった。アメリカはそれがないんです。小さなことかもしれませんが…」
<Q9:米ツアーで驚かされることは?>
「フィールド全体のレベルや、予想ができない試合展開。(石川)遼も日本でのインタビューで話していたと思うんですが、『この先、どうなるんだろう?』『あんな順位にいたヤツが巻き返してきたのか!』というゲームが多い」