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庶民にゴルフ場を・・・新しい時代のために

サー・ヘンリー・コットンの夢はヨーロッパ大陸でも実現されるべきだと思った。スペイン南部で一週間ゴルフをしてわかった。ヨーロピアン・ツアーの未来がかかっている、と言ってもいい。

全英オープンを3度制したイングランドのコットン卿は、プレー料金が手頃で、子どもたちがそこでゴルフというゲームを学ぶことのできるコースをあまねくイギリス諸島に作るべきだと盛んに唱えていた。夢の実現を見届けずにコットンは他界したが、彼の思いはいまやヨーロッパ大陸で活かされなければならない。

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スペイン南部マルベラの陽光降り注ぐ海岸線「コスタ・デル・ソル(Costa del Sol)」には50ものコースがある。そこでプレイするゴルファーの80%は観光客であり、残りの20%はイギリス、ドイツ、スウェーデンなどからの移住者だ。現地のスペイン人は、なかなか足を踏み入れられない。60ドルから80ドルのグリーンフィーを支払う能力が必要だからである。

スペインでは、ゴルフはあくまでもエリートのためのスポーツであり、長年この認識は変わっていない。人口4千万人のうち、ゴルフをするのはおよそ20万人(0.5%)と言われている。セヴェ・バレステロスやホセ・マリア・オラサバルなどの素晴らしいゴルファーを生んだ地でありながら、その数は少ないと言えるだろう。

「エリートのスポーツ」というレッテルは、隣国ポルトガルでも同じだ。ポルトガルのゴルフコースも、暖かい日差しを求めて北部からやってくるゴルファーでにぎわっている。およそ50のコースがありながらポルトガルはヨーロピアン・ツアーで活躍するようなプレイヤーをなかなか生み出せずにおり、スペイン出身者はそこそこの人数が頑張っているのと比べると寂しい限りである。ポルトガル人で最近ヨーロピアン・ツアーを制したプレイヤーと言えばダニエル・シルヴァだが、それも1992年、いまは廃止されたジャージー・オープンでのこと。現在、シルヴァは母国でクラブプロとして働いている。ポルトガル人でライダーカップに出場したプレイヤーとなると、探し出すまえに日が暮れてしまう。

残念ながら、トルコも似たような道をたどっている。コースの建設はちょっとしたブームになっているが、狙いはあくまでも観光客にお金を落としてもらうことであり、トルコをゴルフ大国しようということでは全くない。

しかし、喜ばしいことに少なくともスペインでは事態が変わろうとしている。スペインのゴルフ人口は20万人と書いたが、1年ちょっと前まで12万5千人だったのが急増したのだ。マドリッドのエル・マンド紙のゴルフ担当イサベル・トリロ記者によると、最近ゴルフを始めた7万5千人は、新星セルヒオ・ガルシアの登場に影響を受けているとのこと。これまでゴルフを老人と観光客のスポーツと見なしていた若者が、ガルシアの登場でゴルフを「セクシーなスポーツ」と感じ始めたのだとトリロ記者は語る。

さらに重要なのは、スペインの各地でゴルフ新世代が気軽にプレイ出来る価格のコースが建設されていることだ。これぞまさに、ヘンリー・コットン卿がはるか昔に訴えていた夢である。コットン卿の理想は他のヨーロッパ諸国でも実現されていく必要があり、まさにいまがその好機だ。新しいコースから得る資金でヨーロッパのゴルフ界が潤い、去年のライダーカップ延期の打撃から立ち直ることができる。ライダーカップのヨーロッパチームが生み出した利益を若いゴルファー育成に役立てるため、ライダーカップ・ジュニア開発基金という新しい団体も発足した。その資金こそ、若者が気軽にゴルフが出来るコースの設計に利用するべきだ。

あまり注目されていないが、ヨーロッパでゴルフに力を入れ始めている国は増え始めている。男女の世界アマチュアチーム・チャンピオンシップであるアイゼンハワー・トロフィー、そしてエスピリト・サント(Espirito Santo)トロフィーが、ここ数年、盛り上がりを見せていることがそれを証明していよう。

スペイン、ポルトガル、そしてトルコでのこれまでのゴルフを教訓にしよう。ヨーロッパにこれ以上のコスタ・デル・ソルは不要なのだ。必要なのは、一般庶民が手の届く価格でプレイ出来るゴルフコースであり、次世代のスターをヨーロッパから生み出すことだ。

「それをつくれば、彼らはやってくる」

まさにその通りだ。コースを建設しようではないか。新時代のゴルファーのために。天国のサー・ヘンリー・コットンも大いに頷いているはずだ。BY ALLISTAIR TAIT(GW)

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