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2022年 マスターズ
期間:04/07〜04/10 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

タイガー・ウッズはジャック・ニクラスのメジャー18勝を超えられるか

ゴルフの祭典はスコッティ・シェフラーのメジャー初優勝で幕を閉じました。世界ランキング1位の選手による「マスターズ」制覇はイアン・ウーズナム(ウェールズ、1991年)、フレッド・カプルス(92年)、タイガー・ウッズ(2001、02年)、ダスティン・ジョンソン(20年)に続く6回目(5人目)。ナンバーワンプレーヤーであっても、世界中から名手が集うオーガスタで勝ち切るのが容易ではないことを示しています。

初タイトルとなった2月「WMフェニックスオープン」から6戦4勝。やはり勢いのあるキャメロン・スミス(オーストラリア)との最終日最終組で際立ったのは総合力の高さでしたね。

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4日間のフェアウェイキープ率8位(76.79%、43/56)、パーオン率5位(68.06%、49/72)というショットの安定感はもちろん、1打差に迫られた3番のチップインバーディ、アーメンコーナーで連発したクラッチパットに象徴されるショートゲーム。最終18番で4パットする場面こそありましたが、大会を通じた平均パット数1.53も5番目の数字と攻守でスキを見せませんでした。

バッバ・ワトソンのキャディとしてマスターズ2勝をサポートしたテッド・スコットさんにバッグを預けた新シーズンから一気に頂点へ。ともにキリスト教徒である2人からは決してビジネスライクではない信頼関係がうかがえます。

そのシェフラーにグリーンジャケットを授与する形となった松山英樹選手。新たなチャンピオンを祝福しつつ、少しだけ寂しそうな表情にも見えたのが印象的です。

過去3人だけ、それも初優勝からの達成はニック・ファルド(イングランド)しかいない連覇への挑戦。3月に発症した首から肩甲骨にかけての痛みは必死のケアで緩和されても、1カ月ほど満足いく調整ができなかった影響は間違いなくあったはず。それでも5打差2位で大会を折り返し、ファンの期待を膨らませてくれた戦いぶりにはリスペクトしかありません。最終日の18番、総立ちのパトロンに迎えられた姿はまさに王者の風格。見ているこちらまで誇らしい気持ちにさせてくれました。

そして、電撃的にカムバックを果たしたウッズを忘れるわけにはいきません。右足を引きずるようなぎごちなさが残る歩み。スイングで体が止まってイメージ通りに動かず、トラブルを招いても必死にスコアメークする姿。すさまじい執念が宿った一挙手一投足をパトロンも目に焼き付けたことでしょう。

スタンディングオベーションの中を歩く最終日18番の映像は、壮大な物語のフィナーレかと錯覚するほど感動的なものでしたが、ストーリーにはまだまだ続きがあると信じています。

インタビューでは今後フルタイムでのツアー参戦はせず、ビッグイベント限定になることを明言。スコットランドのセントアンドリュース オールドコースで行われる7月「全英オープン」への出場意欲も示していました。

今大会は週末にスコアを崩しましたが、事故から1年2カ月というブランクを挟んでも36ホール終了時は2位グループと4打差の19位。より経験が生きるマスターズや全英であれば、マネジメントやショートゲーム次第で優勝争いに絡める可能性はむしろ通常のツアートーナメントより高いのではないか、というのが個人的な見立てです。距離がそこまで長くないトリッキーなコースという条件付きで全米オープンも面白いかもしれません。

3日目のプレーを終えたとき、こんな言葉を残しています。「(大事なのは)決して諦めないことだ。毎日毎日、人それぞれにチャレンジがある。僕も日々戦っている。あした目が覚めたら、また戦いが始まるんだ」。ジャック・ニクラスが持つメジャー最多18勝まで、あと3勝。ほからならぬウッズだからこそ、奇跡を信じたくなります。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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