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2022年 バルスパー選手権
期間:03/17〜03/20 場所:イニスブルックリゾート(フロリダ州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

世界11位でも物足りない? ダスティン・ジョンソンは不調なのか

サム・バーンズが「バルスパー選手権」で大会連覇を成し遂げ、自己最高に並ぶ世界ランキング10位に浮上しました。初優勝から1年も経たないうちに3勝目を挙げた25歳によってはじき出される形となったのがダスティン・ジョンソン。PGAツアー300試合出場という節目の一戦を39位で終えていた元世界ナンバーワンが、2015年3月以来7年ぶりにランクトップ10を外れることになったのです。

世界ランク1位に君臨した期間(135週)はタイガー・ウッズ(683週)、グレッグ・ノーマン(オーストラリア、331週)に次ぐ3番目。出場300試合のうちトップ10入り113試合というのも、世界最高峰のツアーにあって驚異的な記録といえるでしょう。

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しかし、20年「マスターズ」でのメジャー2勝目を最後に優勝はおろか、トップ5フィニッシュもない状態が続いています(欧州ツアーでは2021年2月に「サウジインターナショナル」で優勝)。

タイトルから遠ざかるだけで不振と騒がれるのも、選ばれしトップ選手のつらい宿命。スタッツ、メンタルといった側面から現状を分析してみます。

ウィークポイントに挙げられることも多いパッティングのスタッツがそれほど悪くないというのは、少し意外な事実かもしれません。スコア貢献度を示す「ストロークゲインド(SG)パッティング」は今季「+0.128」で86位。出場3試合連続優勝を飾るなど無敵の強さを誇った時期を含む2016-17年シーズン(+0.019で96位)より良い数字だったりします。

一方でストロングポイントであるはずのショットで、以前ほどアドバンテージを握れていないことが分かります。16-17、17-18年と2シーズン連続1位だったこともある「SGオフ・ザ・ティ」は昨季、今季と同じ21位(それでも十分に優れた数字ではありますが…)。

300ydを優に超える飛距離は健在ですし、フェアウェイキープ率にも大きな変化は見られません。周りに彼と同等以上に飛ばす選手が増えてきたこと、そして、規格外の大砲ブライソン・デシャンボーの出現にも関係がありそうです。

かつてロリー・マキロイ(北アイルランド)がデシャンボーの影響でスピードトレーニングを増やすなどした結果、スイングを崩して調子を落としたことがありました。ジョンソンの場合、スイング以上に気持ちの部分でしょうか。「ほとんどの選手は2オンできないけど自分なら…」という優位性が低下していけば、やはり心のゆとりはなくなっていくもの。優勝争いをしていて“自分の飛距離ならバーディが計算できるホール”があったとしても、相手にも同じことが言えるから焦りも生まれます。

もうひとつ気がかりなのはモチベーションの部分。16年「全米オープン」で悲願のメジャー優勝を成し遂げ、20年にはフェデックスカップ年間王者に輝き、秋開催の「マスターズ」も制しました。「出る試合に勝つ」「メジャー優勝の数を増やす」といった具合に目標がぼやけてしまってもおかしくないほどの達成感があったはず。通算20勝のハードルをすでにクリアし、今季が15シーズン目と永久シード獲得も目前に迫っています。

アスリートの中でも特に長いプロゴルファー人生で波があるのは当たり前のこと。ずっとトップグループを走り続けてきたジョンソンにはリスペクトしかありません。まだ37歳。この悔しさが常に淡々としている彼のハートに火をつけ、頂点に返り咲いてくれることを楽しみに待ちたいと思います。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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