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【WORLD】怖かった優勝インタビュー S.グスタフソン〈2〉

Golf World(2012年1月30日号)texted by Ron Sirak

スウェーデン西部に両親が建てたサロGCで10歳の頃からゴルフを始めたグスタフソンは、自分に吃音がなかった時の記憶が無い。1年生の時に発話療法士を訪ねるなど、あらゆる治療を試してきた。指圧も試したが、彼女に効果はなかった。セラピーのセッション中、効果のあるプログラムに出会っても、社会的な交流の場で生かすことはできなかった。まるで、練習場でのゴルフを、コースで発揮できないような感じだった。

投薬治療は大きなリスクを伴う。「いくつもの薬も試したけど、ゴルフに大きな影響が出てしまって。強い薬で、ただただ頭が変になっちゃうのよね。でも、ゴルフキャリアが終わったら、間違いなく頼りにすると思うけど」。

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グスタフソンは、その意志の強さとユーモアで、一握りの親友たちを驚かせている。仲間のヨーロッパ勢と親しいが、中でも、自身が13勝12敗6分けの記録を持つソルハイムカップで一緒にプレーした仲間とは親しい。「責任感が強いし、心が広いの」と話すのは、グスタフソンと7度パートナーを組んだスーザン・ペターセンだ。「ソフはファイターだし、負けず嫌い。私みたいにね」。

携帯メール、Eメール、ツイッター、Facebook、ブログ(sophiegustafson.com)が彼女の考えに声を与えてくれて以来、テクノロジーはグスタフソンの友達となった。それでも、公では、驚くべき意思を見せている。レストランでは、時折ウェイターが気まずい思いをするが、グスタフソンは自分で注文をすると言い張る。また、言葉に詰まった時は、誰かに自分の文章を完成させようとはしない。もし誰かが間違えて文章をまとめた時は、特別な思いを感じてしまう。

時々、彼女の吃音について知らない記者がグスタフソンに質問すると、カタツムリのようなスピードで答えが出てくるため、記者の顔に困惑の様子が浮かぶ。

ソルハイムカップ前に、他のプレーヤーたちが短いインタビューを収録しているのを見て、自分だけ取り残された気分になったグスタフソンは、ゴルフチャンネルのヴァル・スキナーにテレビ・インタビューを提案してみた。「いつもテレビ取材は断っていた私が悪いの。だから、ソルハイムへ向かう飛行機でヴァルの後ろに座った時に、何かできないか相談してみたのよ。彼女はそのアイデアを気に入ってくれて、そのまま上司に報告したら、実現したっていうわけ」。

4月に開催される「マスターズ」で、グスタフソンはゴルフ・ライターズ・アソシエーション・オブ・アメリカから送られるベン・ホーガン・アワードを受賞する。この賞は、怪我や病気を克服したプレーヤーに贈られるものだ。ゴルフチャンネルで吃音症を公表し、さらにこの賞を受ける晩餐会に喜んで出席する意向を示し、投票によって選ばれた。「この賞がどれだけ大きな意味を持つか伝えきれないわ」。記者からの投票で受賞したことを知った後、グスタフソンは携帯メールでそう語った。

同じ障害を持つ子供たちへのメッセージを聞かれると、グスタフソンは言った。「自分のやりたいことをやりなさいって伝えたいわ。もちろん、電話のセールスマンには向かないかもしれないけど、外に出て、やりたいことをやりなさい。自分が何ができて何ができないか、他の人に決めさせちゃダメよ」。

グスタフソンのピークがこれから先に訪れても、ニールソンは驚かないと言う。だが当の本人は「それはちょっと楽観的だと思うわ」と言う。「私はもう38歳だし、ジュリー・インクスターではないの。でも、これから先も何年かいい年が過ごせるように努力はするわよ」。

今年の夏、ノルウェーのオスロで開催されるトーナメントの合間に、グスタフソンは大好きな歌手ブルース・スプリングスティーンのコンサートに出掛ける予定で、これが15回目となる予定だ。「スプリングスティーンは比べものにならないわ」。影響を与えたい子供たちに、ザ・ボスことスプリングスティーンの名曲「Living Proof」の歌詞の一節を伝えるかもしれない。「私が閉じ込められた牢獄の扉は開いていると知らせるために、あなたは私の怒りと激情を突き抜けた。カギもなければ、看守もいない。そこには1人の怯えた男と過去の陰が、鉄格子となってあるだけ」。

ソルハイムカップでヨーロッパ代表の優勝が決まり、勝利のハグで疲れた頃のこと。グスタフソンは10年間彼女を取材し、何度も食事を共にし、インド料理店で“パパダム”という言葉が出た時に褒めてくれた記者を見つけた。

「今の私をどのくらい好き?」。記者の肩をしっかりとつかみ、見つめて言った。その言葉は、完璧なフレーズとして出てきた。アイルランドで、グスタフソンはたくさんの意味で勝者となった。そして、彼女が閉じ込められていた牢獄は開いていたと気が付いた今、グスタフソンの幸運は始まりを告げたのかもしれない。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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