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松山英樹のプロ転向はいつ?

静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで開催された「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、松山英樹倉本昌弘石川遼に続く史上3人目(1973年のツアー制施行後)のアマチュア優勝を果たした。最終日は中盤に単独首位に立ち、百戦錬磨のプロたちを振り切って逃げ切り。最終18番(パー5)では圧巻のイーグルフィニッシュで見るものに新しい歴史の始まりを予感させた。

松山はアマチュアゴルファーのため、優勝賞金などの金品は受け取れず、優勝カップのレプリカやジャケットを手にするだけ。もちろん文句を言う気も一切ないが、副賞として送られるBMWの自動車だけは「めちゃくちゃ欲しかった。車は乗れればいいというタイプなんですけど…」と口惜しそうな様子も見せた。

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日本ゴルフツアー機構の規定により、今大会の優勝で来シーズンから2年間、つまり2013年末までのシード権を“獲得する権利”を手にした。しかし、現在のようにアマチュアのままではこの権利を行使できず、シード選手としてツアーを戦うためには、プロ転向を宣言する必要がある。

「プロ転向」とは、競技で金銭(もちろんBMWも)を受け取れるプレーヤーになることで、裏を返すと「アマチュア資格の放棄」にあたり、今後は学生競技なども含め、アマチュアの試合に出場しないことを決断するということ。石川遼のように高校在学中にプロ転向することももちろん可能で、現在大学2年生の松山も同様。今週から「ダンロップフェニックス」、「カシオワールドオープン」、「日本シリーズJTカップ」と今季の国内ツアーに出場する予定だが、プロ転向すればその直後の試合から、カネもクルマも手に入る(もちろん好成績を残せればの話だが)。

ちなみに過去の2人の例を見てみると、1980年の中四国オープンを制した倉本昌弘の場合、当時のルールでは日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストを通過しなければプロゴルファーにはなれなかったため話が異なる(倉本は翌81年にプロテスト合格)。一方、現行のツアーを主管するJGTOが発足した1999年以降に快挙を達成した石川遼は、2007年「マンシングウェアオープンKSBカップ」優勝後、アマチュアとして同年シーズンの7試合に主催者推薦を中心にした権利で出場し、2008年1月10日に都内でプロ宣言。「今日からプロゴルファーの石川遼です!」との天真爛漫なあいさつで、史上最年少プロゴルファーが誕生、2009年シーズンまでのシード権を行使した。

ただし、松山の場合は少なくとも来年4月までアマチュアでいなければいけない理由がある。海外メジャー初戦の「マスターズ」に、先月の「アジア・アマチュア選手権」を制したアマチュア選手として出場するからだ。

ではその直後、例年で言えば国内ツアーの開幕直前にプロ転向するのか、というとそこも未定。松山は今年のマスターズに出場、ローアマチュアを獲得してからというもの、「大学を卒業してから」と繰り返してきた。特に海外のメディアからの質問といえば「早期プロ転向」と「東日本大震災」についてのものが、もはやお決まりとなっている。

星野英正谷原秀人池田勇太らを輩出した東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督は「4年間の計画で体を鍛え、技術も磨くと考えている。今までの選手もそうでした。人間形成の途中でもあります。まだ2年間(2年生)しかやっていないですからね」と話した。もちろん無理強いして“引き留める”つもりがあるわけではなく、それが入学してからこの日までのスタンス。一方で、学生アマチュアとしての“良き見本”として同世代の選手や後輩たちに、その姿を見せてほしいという思いもありそう。また、石川遼がもう手にすることができない「日本アマチュア」のタイトル獲得も狙えるだけに、即転向とはいかないという。

関係者は偉業を達成した松山の今後について、欧米ツアーなどの試合にも「メジャーなどを除けば、彼に『出たい』という意思があれば推薦出場のオファーはほとんどのトーナメントから来るといっていいでしょう」と話した。今年のマスターズ出場、ローアマ獲得にとどまらず、2年連続出場も決めた。そして今回の優勝で、その視界はさらにひろがった。だがこれからさらにアマチュアの試合との並行日程が過密になる恐れもあり、うまい話に簡単に飛びつけない現状もある。

松山は優勝直後の公式会見で「(プロ転向しないという気持ちは)そうですね…揺らいでいないです。この大会に出場させてもらえたのも大学に行っているからこそ。こうやって自分の力がついて、プレーさせてもらっている。大学をちゃんと卒業してからと考えています」と話した。だがすぐに付け加えた「あとは監督と相談して決めたいです」との言葉には、含みを持たせたようにも思えた。

阿部監督は松山のゴルファーとしての最大の武器について「決めなければいけない時に、決める力」を挙げた。新たなステージに立った19歳の決断には、しばらく注目が集まりそうだ。(編集部/桂川洋一)

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2011年 三井住友VISA太平洋マスターズ



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