【世界トップから後退】タイガー首位陥落、石川遼は45位にアップ!
輝きを失ったタイガーの余波・・・乱世のシーズンに/2010年米国男子ツアーレビュー
2010年度USPGAツアーは、タイガー・ウッズが未勝利に終わり、欧州勢が活躍を見せるという一年となった。
1996年にプロ転向して以来、タイガーは最低でも1年に1勝を挙げてきていたが、2010年シーズン12試合のみに参戦し、ベストフィニッシュは「マスターズ」と「全米オープン」の4位タイ。2009年11月末に起こった自動車事故からスキャンダルに発展し、結局シーズン初戦となったのは4月の「マスターズ」。首を痛めて途中棄権(5月)や、4日間で18オーバーを叩いてしまう(8月)など苦しい時期が続いた。8月から、ショーン・フォーリー氏からのスイング指導を受けるようになり、10月の欧米対抗戦「ライダーカップ」、中国、豪州などの試合でショットの内容は向上。自らがホストを務める12月の「シェブロンワールドチャレンジ」では、プレーオフで敗退し優勝は逃したものの、タイガーらしい豪快な飛びと、アイアンの切れ味は戻ってきており、2011年はリバウンド、バウンスバックの復活を感じさせるに十分な試合だった。
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タイガーの不振が続いた分、大きな期待はフィル・ミケルソンに向けられた。妻のエイミーさんや、母親メアリーさんが2009年から乳がんと闘っている中で、4月に行われた「マスターズ」で勝利を収める。ミケルソンにとっては2004年、2006年に続いて3度目の「マスターズ」制覇だった。しかし、ミケルソンは8月に自らが「乾癬性関節炎」だと発表。6月から痛みと闘いながらの毎日だったと話し、周囲を驚かせた。20試合に参戦したミケルソンは、トップ10フィニッシュが6回、賞金ランク6位でシーズンを終えている。
「マスターズ」のあと、4大メジャー競技は欧州ツアーをメインで戦う3人が、それぞれ念願のメジャー初制覇を獲得。ペブルビーチ開催の「全米オープン」は、北アイルランドのグレーム・マクドウェルが最終日に粘り強いゴルフを見せて勝利。セントアンドリュースが舞台となった「全英オープン」は、南アフリカのルイ・ウーストハイゼンが7打差の圧勝。8月の「全米プロゴルフ選手権」は、プレーオフの末、ドイツのマーティン・カイマーが勝ち残った。
メジャータイトルには届かなかったものの、イングランド勢も大きな存在感を現す一年となった。イアン・ポールターは世界ゴルフ選手権「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」のチャンピオン。ジャスティン・ローズは夏場に2勝。リー・ウェストウッドは、1998年以来12年ぶりとなるアメリカでの勝利を挙げた。USPGAルーキーとなるロリー・マキロイ(北アイルランド)も、難度の高い「クエイルホロー選手権」で、最終日に「62」というスコアをマークし、鮮やかな逆転優勝を飾った。
賞金王に輝いたのは32歳のマット・クーチャー。26試合に参戦して491万ドルを獲得したクーチャーの優勝は、「FEDEXカップ」初戦の「バークレイズ」のみだったが、トップ10に11回、25位以内に20回と上位に絡む試合が多く、平均ストローク「69.61」でもトップに輝いて、「バードントロフィー」も獲得した。
また秋のプレーオフシリーズ「FEDEX カップ」チャンピオンと、最優秀選手(プレーヤー・オブ・ザ・イヤー)は、40歳のジム・フューリック。「FEDEXカップ」フィナーレの「ザ・ツアー選手権」を含むシーズン3勝で、ツアー通算勝利数を16勝としたフューリックは、第4代FEDEXチャンピオンとして、ボーナス賞金1000万ドル(8億4000万円)を獲得した。
唯一の日本人ツアーメンバーの今田竜二にとって、2010年はシーズン6年目。1月末の「ファーマーズ・インシュランスオープン」では、3日目を終えて首位に立つが、最終日に「75」を叩いてしまい9位フィニッシュ。他にも、途中まで優勝争いに絡んでいながら、週末にスコアを落としてしまう試合が多く、なかなか賞金ランク上位に上がることができなかった。肋骨を痛め、練習を思うように進めることができず、2008年「AT&T クラシック」で得た2年シード権が、シーズン末で消滅することも懸念されていた。しかし、10月のフォールシリーズで連続トップ10フィニッシュを果たすと、年間獲得賞金100万ドルを突破。賞金ランク86位と、無事にシーズンを終えることができた。
「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」(新人王)を獲ったのは、1988年生まれのリッキー・ファウラー。お爺さんが日本人というファウラーは、「ユタカ」というミドルネームを持つ。ファウラーは優勝こそなかったが、28試合に参戦し、2位2回を含むトップ10フィニッシュが7回、賞金ランクは22位(285万ドル)で、「ライダーカップ」でも活躍を見せた。
1月の「SBS選手権」(ハワイ)から、11月フロリダ州で開催となった最終戦まで、賞金ランク対象試合は全46試合。来シーズンの出場資格を得るシード権125位は、トロイ・メリットの78万6,977ドルまで。2011年は、PGAツアー認可全試合49試合が予定されていて、賞金ランク対象は前年比1試合減の45試合となっている。