三田村昌鳳が語る全英オープン(1)
2011年 全英オープン
期間:07/14〜07/17 場所:ロイヤルセントジョージズGC(イングランド)
過酷なコースと正面から向き合う平塚哲二
14日(木)に開幕する今季の海外メジャー第3戦「全英オープン」。開幕2日前のロイヤルセントジョージズGCは強風が吹き荒れ、選手たちの練習ラウンドをより一層難しいものにした。
同クラブで全英が開催されるのは今年が14 回目。イングランド東部、ドーバー海峡からの強風にさらされるコースは、ティグラウンドからは落としどころが判断できないような激しくうねるフェアウェイ、そしてグリーンが選手たちを待ち受ける。「想像を絶する」と頭を抱えながら調整を続ける選手もいる中、平塚哲二だけは6人の日本人選手の中でも、ちょっと違った心境でコースと向き合っているようだ。
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平塚は2月に行われたアジア地区の予選会を通過し今大会の出場権を獲得。今季ここまで8試合の欧州ツアーに参戦し、日本ツアーを掛け持ちしながら、両ツアーで今季、予選落ちを喫したのは前週の「バークレイズスコットランドオープン」のみ。安定した成績が光る。
その平塚、コースへの印象を問われると「難しい」と他選手と同じ第一声。しかし「2週間前のフランス(アルストム・オープン・ド・フランス)は、フェアウェイがもっと硬かった」。また英国特有のポットバンカーについても「ここは決して難しいものではない。バンカーの縁と傾斜がグリーンを向いて上がっている(右利きなら左足上がり)ところが多いので、ある程度はボールが止まる」と、ここまでの経験則から分析する。
フェアウェイ上に連続する大きなコブは、時にナイスショットすら簡単にラフやハザードへとボールを弾いてしまう。勝敗を決するには“運”も大きな作用となりそうに見える。石川遼は「落ちどころが5ヤード違うだけで、大きく(状況が)変わってくる」と言った。しかし平塚は「そこまで計算する選手が上に行くのでは」と状況をすんなりと受け入れている。
「まあ、だからと言っていいスコアが出るとは限らない」と “涼しい顔”ではいられない。けれど「他の人が『え? こんなん?』と感じるようなことは無い」と精神的なアドバンテージも少なからずあるだろう。
ちなみに開幕3日前、平塚が練習ラウンドを行っている最中、急にある外国人選手が加わってきた。「誰や、と思ったら前回のチャンピオンだった」。前回このロイヤルセントジョージズで行われた2003年大会を制したベン・カーティスが飛び入り参加。「ここは何番で打つんだ、といったことは参考になりましたね」と思わぬ幸運にも恵まれたようだ。
風が吹き、雨が降り、過酷な状況になればなるほど、技術以上に精神力が問われそう。そして、大会に参加する半数の欧州ツアーを主戦場とする選手たちが、平塚と同じような心構えでいるのかと考えると、日本人選手の戦いが一層厳しくなるようにも思えてしまう。【英国・ケント/桂川洋一】
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw