2015/10/30GDOEYE

世界を旅する22歳・川村昌弘 欧亜の連携強化は追い風か?

2013年の日亜共催「アジアパシフィックパナソニックオープン」優勝からアジアンツアー出場への扉を開き、国内ツアーとの掛け持ちを始めてから今年で2年目。22歳の川村昌弘は今季、国内ツアー14試合、アジアンツアー9試合に出場した。 日本ツアーの賞金ランクは前週を終えた時点で38位と、来季の第1シード(上位60位まで)を手中に収めた。今週の「マイナビABCチャンピオンシップ」(予選落ち)、次週の「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」で、今季16試合の出場義務試合数(全米オープンを含む)も満たすため、国内とアジアのどちらに出場するか、参戦の自由度は増す。 アジアの賞金ランクは30位につけ、こ...
2016/07/05GDOEYE

あのときの涙、いまの笑顔 塚田陽亮の米ツアー初挑戦はブービー

14歳のとき、塚田陽亮がフロリダのIMGアカデミーに留学するため、米国で最初に降り立ったのはシカゴの国際空港だった。長野の実家、群馬の中学を飛び出し、異国の地で腕を磨くという揺るぎない決意。だがその単身の旅は、目的地に着く前から試練となった。 日本からの飛行機を乗り継ぐ際、空港内のターミナル間の移動ができず迷子になった。当時は英会話がまったくできず、猛烈な孤独感に襲われた。そして、ひとり泣いた。 乗り継ぎ便が出発するわずか30分前、途方に暮れていたところを、見知らぬ日本人が助けてくれた。後にその話を電話で伝え聞いたとき、母・恵子さんは「本当に行かせてよかったのか…」と、遠く日本で愛息の身を案じ...
2016/07/05GDOEYE

俺は出る!池田勇太はなぜリオ五輪へと向かうのか?

112年ぶりにオリンピック競技に復活するゴルフは、危機に陥っている。リオデジャネイロでの開催で、ジカ熱感染、治安、過密日程などの懸念が広がり、世界ランク上位のジェイソン・デイ(オーストラリア)、ロリー・マキロイ(北アイルランド)らに続いて、日本の松山英樹も出場辞退を表明した。日本勢で2番手の谷原秀人も回避を示唆。代表入りが濃厚になった池田勇太(日本勢3番手)は4日、国内メジャー「日本プロ選手権」のコースで「(本来の圏内の)2番手まで上げたい」と意気込んだ。 晴れやかではない。自分でも認める頑固者は「出るべき人(上位選手)が出ると思っていた」と努めて冷静に断言した。だが、本来出場権を獲得する上位...
2016/06/11GDOEYE

「とんでもない」と宮里藍 やっぱりすごい“殿堂”についてのウンチク

海外女子メジャー「KPMG女子PGA選手権」の初日18ホールを終えて、朴仁妃(韓国)が史上最年少の27歳で「LPGAツアーのゴルフ殿堂(LPGA Tour Hall of Fame)」に加わった。ちなみにこの殿堂は、樋口久子、岡本綾子、青木功、尾崎将司らが名を連ねる“世界ゴルフ殿堂”とは違うもの。ではいったいこれって何だろう? LPGAツアーのゴルフ殿堂(以下、殿堂)が設立されたのは1967年。50年にジョージア州にあるオーガスタCCで組織された「女子ゴルフ殿堂(Hall of Fame of Women’s Golf)」を引き継いだ形だ。98年に世界ゴルフ殿堂の一部となったが、世界ゴルフ殿堂...
2016/06/13GDOEYE

野村敏京の言葉を伝えるということ

野村敏京が話す日本語の語彙はまだ豊富とは言い難い。神奈川県で生まれたが、5歳で韓国へと渡り、高校卒業までをソウルで過ごした。日本語はもちろん話せる。だが、米ツアーにいる韓国系選手たちとハングル(韓国語)で話しているときの方が、流ちょうで淀みない印象だ。 今季米女子ツアーで2勝を挙げた野村は、世界ランクで日本人最上位となり、リオデジャネイロ五輪日本代表の有力候補として“突如”メディアの脚光を浴びるようになった。野村を追う記者が増え、報道量も増えた。だが、野村の語彙力は常に頭に入れておく必要があるだろう。字面だけを追えば、野村のコメントはときに過激にも受け止められる。 野村の母・昭英(そよん)さん...
2016/04/30GDOEYE

父の他界から2カ月 谷原秀人「自分の良いゴルフを天国で」

最終18番。大きく右へと出た谷原秀人のティショットは、小さな木の後ろに止まった。「ドローを狙っているのが、フェードですからね。本当に逆球が出てしまう…」。国内男子ツアー「中日クラウンズ」3日目を「65」(パー70)で回り、首位と5打差の3位につけた谷原だが、ショットの不安はまだ拭えていない。 前半は1mから6mまで、5つのバーディパットをカップに沈めて5アンダー。だが「なかなかショットとパットが、かみ合わない」と、後半はパープレーで足踏みした。 今週、谷原はアイアンのシャフトをカーボンからスチールへと変更した。「クラブはしょっちゅう変えていて、それで失敗した部分もある。クラブのしなりでこんなに...
2016/04/29GDOEYE

福嶋浩子「1勝してみたい」 偉大な姉を持つ妹の本音は?

フィギュアスケートの浅田真央・舞、ボクシングの亀田興毅・大毅・和毅…。ゴルフで言えば、宮里三兄妹や尾崎三兄弟に代表されるように、兄弟姉妹が同じスポーツの道に進むことは珍しくない。しかし、同じように活躍できるとは限らない。「~の姉」「~の弟」と呼ばれたほうが、名前の通る選手がいるのも事実だ。 福嶋浩子は、国内女子ツアー通算24勝を誇る福嶋晃子を姉に持つ。自身は未勝利だ。29日に開幕した「サイバーエージェント レディス」で、8バーディ、1ボギー1ダブルボギー「67」(パー72)をマークし、5アンダーの単独首位で滑り出した。 「でき過ぎですね」と満面の笑みで振り返った。その後、意外なことを口にした。...
2016/04/27GDOEYE

タイガー・ウッズ設計の米国初コースがついにオープン!

忘れかけていたあの笑顔を、久しぶりにごく間近で感じることができた気がした。タイガー・ウッズが設計した米国初のゴルフコース。テキサス州ヒューストン郊外にあるブルージャックナショナルGCには、天才アスリートであり、ゴルフ界のカリスマであり、だが最近はちょっぴり影が薄くなったウッズの存在感で満ちあふれていた。 4月25日グランドオープンのブルージャックナショナルGCは、意外にも米国では初めてのウッズ設計コースとなる。経済情勢や自然災害などによって、中東ドバイや米ノースカロライナなどでウッズが絡むコース開発計画は次々に頓挫した。ゆえに、これまではメキシコにあるエル・カードナルが、ウッズ設計による唯一の...
2016/05/01GDOEYE

苦しみは誰よりも分かるから 福嶋晃子が気になる妹の口ぐせ

「わたしは全然できない」。それが妹の口ぐせだ。国内女子ツアー「サイバーエージェントレディス」最終日。日米通算26勝を誇る福嶋晃子は、4歳下の妹・浩子の初優勝をかけたプレーオフを心配そうな顔でじっと見つめていた。1ホール目にキム・ハヌル(韓国)のパーパットが外れて勝利が決まった瞬間、誰よりも早く涙を流した。「苦しかったね」と妹を抱きしめた。 初日から首位を守っていた妹は、サンデーバックナインで崩れた。16番で4パットのダブルボギーをたたくと、後続との差は1打になった。姉は「もう見ていられなかった」と17番はパスした。それでも、18番とプレーオフは緊張しながら見守った。 妹の苦しみは分かっていた。...
2016/04/25GDOEYE

米国ツアーで夫婦が同じ日に優勝争い

米国女子ツアー「スウィンギングスカートLPGAクラシック」で通算2勝目を飾った野村敏京。最後は後続に4打差をつけて逃げ切ったが、最終日の中盤に米国のジェリーナ・ピラーが一時2位に迫った。同選手は米国男子ツアーでプレーするマーティン・ピラーという選手の夫人。夫はこの日、「バレロテキサスオープン」で4位フィニッシュ。夫婦がそれぞれのトップツアーで、同じ日に優勝争いを演じた。 妻のジェリーナは31歳。まだ優勝経験がないが、女子の欧米対抗戦「ソルハイムカップ」に2013年、15年と2大会連続で米国選抜の一員となった実力者だ。今週は結局3位で終え、今季の4度目のトップ10入りを果たした。 30歳のマーテ...
2015/12/07GDOEYE

賞金王・金庚泰も観客減に危機感「日本の若手が頑張らないと」

ゴルフの国内男子ツアーの現状に危惧を抱いている選手は、今季最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を制した石川遼だけではない。今季5勝を挙げ、1億6598万円余を獲得して賞金王に輝いた韓国のキム・キョンテもその一人だ。 キムは「今年は(ギャラリーが)少ないと思いました」と振り返った。日本ツアーに本格参戦して2年目の2009年、2位に入った最終戦では4日間を通じ、約3万2800人のギャラリーを集めた。それに対し、今年は約2万2000人にとどまり、石川の優勝期待が高まった最終日も、昨年の1万68人から199人増えたに過ぎない。 今年は全25試合中、13試合を外国勢が制した。キムは「今年は海外の選手が...
2015/12/06GDOEYE

優勝会見の「涙」から伝わった上田ジャパン

嬉し涙、安堵の涙、そして感謝の涙。優勝会見の席上で、キャプテンの上田桃子の目から涙が止まることはなかった。女子の世界4ツアー対抗戦「THE QUEENS presented by KOWA」最終日を1位で迎えた日本ツアーが、ライバルの韓国ツアーを3ポイント差で振り切り、3日間で1位を守り切る完全勝利で初代優勝チームとして名前を刻んだ。 いろいろな思いを胸に受けてのキャプテン就任だった。前身の「日韓女子プロゴルフ対抗戦」では前年、韓国に11ポイント対25ポイントで大敗。上田自身も2日間で1勝も挙げられなかった悔しさは、1年が経った今も心の奥底に重くくすぶり続けている。 今季国内女子ツアーで海外勢...
2015/12/06GDOEYE

そのときが来ようとも…松山英樹、タイガー・ウッズへ抱く純真

松山英樹が初めてタイガー・ウッズの姿を生で見たのは、小学生のとき。2002年の国内男子ツアー「ダンロップフェニックストーナメント」でのことだった。地元愛媛から宮崎まで駆けつけ、自身のヒーロー像をその目に焼きつけた。時は経ち、松山はいまウッズと同じ米国PGAツアーの舞台に立ち、奮闘を続けている。 今週バハマで開催されている「ヒーローワールドチャレンジ」で、松山は前年に続き、出場18人の精鋭に選ばれたが、大会ホストであるウッズの動向にゴルフ界は、にわかに揺れている。腰の故障からの復帰は見通しが立たず、ウッズは開幕2日前の公式会見で「トンネルの先に光が見えない」と発言。引き続き行われたTIME誌のイ...
2016/07/10GDOEYE

東京五輪を目指す19歳 光永輪子はバッバ・ワトソンらの後輩

天真爛漫な笑顔に吸い込まれそうになった。8月の「リオデジャネイロ五輪」を1カ月後に控え、日本代表を争うラストゲームとなった今年の「全米女子オープン」は野村敏京に次ぐ2番手の座をかけた大山志保、宮里美香、渡邉彩香の三つどもえの戦いに注目が集まった。そんな中、将来のオリンピック出場を意識した異色の日本人プレーヤーはほかにも、ここコーデバルGCにいた。光永輪子(みつなが・りんこ)は本場米国のジョージア大で腕を磨く、日米両国籍を持つアマチュアだ。 まだ19歳だが、全米女子は今回が2回目の参戦だった。初めてこの舞台を踏んだのは2012年で、当時は15歳で日本人史上、最年少の出場だった(15年に山口すず夏...
2016/05/18GDOEYE

ベテラン中嶋常幸が国内4戦目でシーズンインする理由

ツアー通算48勝で永久シードプレーヤーの中嶋常幸が、19日に開幕する「関西オープンゴルフ選手権競技」で今季初戦を迎える。当初は前戦の4月末「中日クラウンズ」に出場予定だったが、開催間近になり2010年に不慮の事故で痛めた膝の古傷が悪化。無念の欠場を強いられ、予定より3週間遅れでのシーズンインとなる。 練習日にあてられた開幕前日は、長男の中島マサオらと9ホールをプレー。膝の状態を問われると「十分かと言われれば、十分ではないけれど」と前置きした上で、「試合に出られるようになったからね。頑張ってみたいと思います」と快活に答えた。 ラウンド中には時おり膝をさする素振りを見せてもいたが、61歳から弱音の...
2016/05/20GDOEYE

13本で戦えますか?ルーキー女子、キャディバッグの隙間の理由

キャディバッグには、クラブを14本まで入れることができる。プロの試合となれば、状況に応じて1打1打、繊細なクラブ選択が求められる。ルールで定められた最大限の本数を手元に用意するのは、当たり前とも言える。 愛知県で開幕した国内女子ツアー「中京テレビ・ブリヂストンレディス」初日、昨年プロテストに合格したツアールーキーの岡山絵里は、1本少ない13本のクラブで試合に臨んだ。3バーディ、2ボギーの「71」(パー72)でプレーし、1アンダーの22位につけた。 用具契約を結ぶブリヂストンスポーツの担当者は、14本そろえずに試合に出る選手を「見た記憶がない」と驚く。岡山の語る理由はこうだ。今季は52、58度の...
2016/05/16GDOEYE

第5のメジャー 松山英樹を寄り道させた勇気

苦楽をともにするサポートスタッフでさえ、驚いた決断だった。フロリダ州で行われた「ザ・プレーヤーズ選手権」初日の朝。松山英樹は1番ティグラウンドの裏にあるパッティンググリーンで、2本のパターを念入りに打ち比べていた。スタート直前に1本に絞ったのは、センターシャフトの大型ヘッドモデル。愛用するピン型パターは移動用車両のハッチバックの中で、静かにティオフ時刻を迎えた。 4打差を追ったジェイソン・デイ(オーストラリア)との最終日最終組対決に敗れた“第5のメジャー”。4日間の松山におけるトピックスと言えば、この新しいパターを実戦投入したことだった。3年ほど前に作ってもらったパターに、長方形の太いグリップ...
2016/02/07GDOEYE

日本ツアー初開催 ミャンマーOPで見たこと、聞いたこと、思ったこと<前編>

不安は約1カ月前からつきまとっていた。国内男子ツアーの2016年第2戦「レオパレス21ミャンマーオープン」。アジアンツアーとの共同主管競技として今年新たに設立された大会には今回、そもそも無事に現地で取材ができるのか、という問題があった。 ミャンマーといって浮かぶのは、政治指導者のアウンサンスーチー氏と、映画「ビルマの竪琴」くらいといった方も多いはず。東は中国、ラオス、タイ、西はインドとバングラディシュに接する南北に長い国は、前週の今季初戦が行われたシンガポールからは約3時間のフライト。日本とは2時間30分というビミョーな時差がある。 さて、冒頭の“不安”について。ミャンマーに入国するためには、...
2016/02/07GDOEYE

松山、リッキー、ダニー あしたの最終組の仲は?

「何でだか分からない」と本人は首を傾げるが、松山英樹にとってTPCスコッツデールで行われる「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」は、ことのほか相性が良い大会だ。昨年2位、一昨年4位、そして今年も最終日最終組で日曜日を迎える。 単独首位に立つのは通算13アンダーのダニー・リー(ニュージーランド)。昨年の「ザ・グリーンブライアークラシック」でツアー初優勝を飾った25歳が、最終日を首位でスタートするのは今回が初めてだ。付け加えれば、今大会は過去6年で3日目終了時点の首位(もしくはタイ)だった選手が優勝したのは、2013年のフィル・ミケルソンただ1人と逃げ切りには不向きなデータも残されている...
2016/02/02GDOEYE

池田勇太が尽力 ミャンマーのナショナルオープン復活

国内男子ツアーの2016年アジアシリーズ第2戦「レオパレス21ミャンマーオープン」は4日(木)から、ミャンマーのロイヤルミンガラドンゴルフ&カントリークラブで開催される。同国のナショナルオープンが、日本ツアーとアジアンツアーとの共同主管競技としてリニューアル。日本ツアーにとっての“新規大会”立ち上げに尽力したのが、池田勇太だ。 「ミャンマーオープン」は1996年からアジアンツアーの1試合として2013年まで行われていたが、直近2年は開催なし。昨年まで3年間、選手会長を務めていた池田は、過去にツアーのプロアマ戦を通じて知り合ったレオパレス21社の幹部とともに、約1年前から急ピッチで開催にこぎつけ...