2015/08/01GDOEYE

成田美寿々 リンクスでよみがえる下積み時代の記憶

「あの時はもっとうまく対応できていた気がするんですけどねえ」――。初日の穏やかな空から一転、スコットランドの海岸線沿い、ターンベリーはようやく本来の姿を見せた。強風が吹き荒れた「全英リコー女子オープン」2日目。3アンダーの14位から出た成田美寿々は「75」とスコアを落としたが、通算イーブンパーの15位で踏ん張り、首位とは7打差で決勝ラウンドに進出した。 やすやすとトラブルを回避して完走できるほど、全英は甘くない。2つスコアを伸ばして迎えた後半12番、成田の左足上がりのフェアウェイからの第2打は、大きく右へ飛び出した。 「低い球を打とうとしてボールを右足寄りにした。右に置くと左にフェースを“巻き...
2015/08/04GDOEYE

PGAツアー開催地に秘められた国家機密“バンカー”

ザ・グリーンブライヤークラシック(1/2) 猛暑日が続く日本で過ごしているうち、先日の米国出張で書く機会を見つけられずにいたPGAツアーでの経験を思い出したので、清涼剤代わり(?)に書いてみようと思う。 日本の石川遼が4位発進を決めたものの76位に終わり、ダニー・リー(ニュージーランド)の優勝で幕を閉じた米国男子PGAツアーの「ザ・グリーンブライアークラシック」。開催されたウェストバージニア州ホワイトサルファースプリングは、アパラチア山脈の一角にあり、軽井沢を思わせるような、森と緑に囲まれた穏やかな高原だった。 アメリカ合衆国の首都、ワシントンDCから南西に約250マイル(400キロ)。鉄道(...
2015/08/03GDOEYE

朴仁妃がメジャー4大会優勝 「もちろんグランドスラム」は本当か?

スコットランドのターンベリーで開催された「全英リコー女子オープン」。混戦の最終日に世界ランキング1位の朴仁妃(韓国)が力を存分に見せつけた。5アンダーの5位から出ると、1イーグル、7バーディ、2ボギーの「65」を叩き出し、通算12アンダーとして後続に3打差をつけて圧勝した。 3日目を終えて首位とは3打差。「追う立場の方が重圧が少ない。リーダーはもちろん一番勝利に近い位置にいるけれど、同時にプレッシャーもかかる。3打差、4打差くらい後ろにいる方が楽にプレーできる」 1年前、朴には逃した大きな魚がいた。昨年のこの大会。メジャー4連勝がかかった最終日、単独首位から出て逆転負けを喫した。「全英こそが一...
2015/07/29GDOEYE

“寿限無”化する? 国内男子ツアーのリランキングを整理してみた

多くのツアーには、フルシード権を持たない選手を対象に、シーズン途中の賞金額に応じて出場優先順位を組み替える『リランキング』という制度がある。好調な勢いのある選手により多くの出場機会を与え、ツアーを活性化するもので、国内では男子ツアーが実施(国内女子は未導入)。先週の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」までで出場資格選手の順位が一部見直された。どういう仕組みなのか? 一口に説明するのは難しい新制度も今季は実施されるので、国内男子のリランキングについて一度整理してみた。 まず、国内男子の大会は、最終戦の「JTカップ」を除いて、84~156人程度の選手によって優勝を争っている。大会ごとの出場人数の...
2015/08/06GDOEYE

一流の証し?不動裕理の変わらぬルーティン

不調なときや物事が思い通りに運ばないとき、「やり方を変える」ことで状況を上向かせようというやり方もある。一方で、“一流”と呼ばれるスポーツ選手には、どんなときも「やり方を変えない」というセオリーを貫く人も多いと聞く。 たとえば、米大リーグのマーリンズで活躍するイチロー。先ごろ、メジャー通算2900安打を突破したが、バッターボックスに立つと、毎回同じルーティンを繰り返すのはご存知の通りだ。プレー中だけではなく、日常生活でもイチローなりのルーティンがいたるところに存在しており「準備というのは言い訳の材料となり得る物を排除していく、 そのために考え得る全てのことをこなしていく(ことだ)」という自身の...
2015/08/05GDOEYE

同じ125位以内だけど…違う 「フェデックス」と「賞金」の差

いよいよレギュラーシーズンの最終盤にさしかかった米ツアーで、来季出場権の確定を狙う石川遼。必然的に、その記事には来季出場資格の要件となる『フェデックスカップランク125位』や『賞金ランク125位』が付いて回ることになる。意外と知られていない米ツアーの出場資格制度。フェデックスカップランクと賞金ランクの違いをまとめてみた。 日本ツアーが賞金ランクでいわゆる「シード」を決めていることもあり、米ツアーの仕組みを理解するにはまず、用語の整理が必要となる。「シード」が<優先出場権>を意味する言葉だとすると、米国男子ツアーでは出場資格として『フェデックスカップランク125位』が『賞金ランク125位』より上...
2015/08/08GDOEYE

生誕日は石川遼と一緒! 韓国の新星は五輪と不思議な縁

“父子鷹”でのリオ行きは、もう夢物語じゃない。112年ぶりにゴルフが正式種目に復活するリオデジャネイロ五輪。開幕を1年後に控えた段階で、オリンピックランキングによる男子の日本代表は松山英樹と岩田寛となっている。お隣・韓国はというと、ベ・サンムンは米ツアーの今季終了後に2年間の兵役につくことが決まり、実質的なランク最高位は別の選手に“繰り下がって”いる。 23歳のアン・ビョンフン。韓国期待のスーパーエリート選手だ。 彼の名前が世に知れ渡ったのは2009年の「全米アマチュア選手権」。当時17歳、史上最年少で世界最高のアマチュアタイトルを獲得した。そして今年5月に欧州「BMW PGA選手権」でプロ初...
2015/08/07GDOEYE

ツアー参戦5年目 世界で戦うフォンが見た日本ツアーとは?

国内女子ツアー「meijiカップ」初日、女子世界ランク8位、米ツアーを主戦場とするフォン・シャンシャン(中国)が、2バーディ2ボギーの「72」でプレーし、イーブンパーの24位でスタートした。海外の刺客が今週またひとり、じわりと上位の行く手を阻もうとしている。 米女子ツアーを主戦場とするかたわら、2011年から国内女子ツアーにスポット参戦しているフォン。同年の今大会でツアー初優勝を果たすと、翌12年も制して大会2連覇を達成。今大会はそんな思い入れもあって、年間スケジュールを組む際に、必ずと言って良いほどエントリーする。「北海道は気候も良いし、食事もおいしい」と、早速好物のタラバガニも堪能した。 ...
2015/04/19GDOEYE

1年がかりで「宮本担当」を志願!ハウスキャディ号泣の理由

「東建ホームメイトカップ」最終日に、この日のベストスコアタイ「64」の大爆発。15位から5位に浮上した宮本勝昌は、開催コースの東建多度CCに所属するハウスキャディに感謝の言葉を並べた。「去年もやってくれたキャディさんなんだけど、グリーンの読みが素晴らしい。すごく助けられました」。勤務歴4年あまりの下里麻由さん(30)がその人だ。 宮本が「困ったら、すぐに聞くようにした」というほど万全の信頼を寄せた的確な指示だった。それもそのはず、今週、宮本をサポートするために1年をかけて準備を整えてきた。話は、前年大会に遡る。 下里さんは1年前も宮本のキャディを担当。宮本は今年同様、最終日に「64」をマークし...
2015/04/21GDOEYE

国内男子開幕戦の勝者はクリケット出身 他競技からの転身選手まとめ

国内男子ツアーの今季開幕戦「東建ホームメイトカップ」を制したのは、ツアー参戦3年目の35歳、ニュージーランド出身のマイケル・ヘンドリーだった。身長188センチ、95キロで均整の取れた体型。母国ではラグビーに次ぐ人気というスポーツ「クリケット」で19歳以下のニュージーランド代表に選ばれた経歴を持つアスリートだ。 肩の故障のためクリケット選手としての成功を諦めたというヘンドリー。ゴルフに専念してからは2012年、13年と母国のナショナル競技「ニュージーランドPGA選手権」を連覇したほか、11年、13年は「ワールドカップ」のメンバーにも選出。クリケットで用いるバットをクラブに持ち替えて母国代表として...
2015/04/16GDOEYE

マスターズ王者は優等生 スピースがメジャーV翌週も出場へ

「マスターズ」で優勝したプレーヤーには翌日から恒例のスケジュールが待っている。最終日の翌日、オーガスタからニューヨークへ飛び、大会を中継するCBSをはじめ、当地の報道各社などを訪れて取材攻勢を受ける。2015年の王者、ジョーダン・スピースもまた同じだった。 ニューヨークでは「滞在した25時間で25、26カ所を回ったんだ」という。せわしなくマンハッタンを回り、エンパイアステートビルの屋上で記念撮影も行った。休む間もなく、今週の米ツアー「RBCヘリテージ」に出場するスピースは、会場のハーバータウンGLがあるサウスカロライナ州に14日(火)の午後10時に入った。翌15日(水)のプロアマ戦への参加は免...
2015/04/13GDOEYE

松山英樹の確かな成長、そして、「19」への淡い期待

ねぎらいの言葉をかけられるたびに、あふれ出そうな思いを噛み殺していた。泣き出すかもしれない、そう思った。「うん…うん…、微妙ですね…」。日本人選手として歴代最少ストロークとなる通算11アンダー、自身メジャー最高位の5位で、2015年の「マスターズ」を終えた松山英樹が、ラウンド後、笑みを浮かべることなく、4度目のオーガスタへの挑戦を振り返っていた。 「やっぱり…いいプレーができなかった。やっぱり優勝争いをするために練習をしている。3日目までのプレーがすごく残念だった」 初日18位でスタートを切り、日を追うごとに順位を上げたが、土曜日までは特にパットに苦しめられた。最終日のスタート前、ジョーダン・...
2015/04/12GDOEYE

激戦の三つどもえ!現役最強キャディは誰?

今週の国内女子ツアー「スタジオアリス女子オープン」で優勝を飾ったのは成田美寿々。日韓戦でのコンビはあるが、レギュラーツアー初タッグとなった森本真祐キャディとのコンビで、ツアー6勝目を勝ち取った。 ちなみに、森本キャディはこの優勝でツアー通算25勝目となる。アン・ソンジュとのコンビで15勝を挙げ、谷口徹と4勝、近藤共弘と3勝、桑原克典、金ナリ、今回の成田で各1勝という内訳だ。 25勝は、現役キャディの最多優勝記録に並ぶ。もう1人、25勝を挙げているのは、かつては片山晋呉、最近は女子プロのキャディとして活躍する大溝雅教氏。24勝で谷口徹、上田桃子、イ・ボミらのキャディとして勝ち星を重ねてきた清水重...
2015/04/27GDOEYE

石川遼 1W復調で取り戻した自信

62位という成績は決して手放しで喜べるものではない。「正直、かなり悔しい」と石川遼も言う。それでも、ニューオーリンズにあるTPCルイジアナで開催された「チューリッヒクラシック」は、石川にとって大きな進歩を感じる一週間になったという。 優勝したジャスティン・ローズは通算22アンダー。一方の石川は通算7アンダー。その差は15ストロークと大きいが、バーディ数で比較するとローズの25個に対して、石川は22個でフィールド10位。バーディは獲れている。その要因は、ここ数週間は不振が続いていた1Wの復調が大だ。 「1Wはアメリカに来て、一番差を感じた部分だった。日本では“飛ぶ人は曲がってもいい”みたいなのが...
2015/04/12GDOEYE

21歳の挑戦再び スピースが完全優勝に王手

グリーンジャケットをその身にまとわんとしていた2011年、ロリー・マキロイ(北アイルランド)は21歳だった。圧倒的な飛距離を武器に試合を支配し、後続に4打差をつけて迎えた「マスターズ」最終日。しかしマキロイは後半10番でティショットを大きく左に曲げてトリプルボギーを叩くなど、サンデーバックナインで大崩れして逆転負けした。 あれから4年。マキロイがメジャーで既に4勝を挙げ、キャリアグランドスラムをかけて臨んだ今年の大会で、新たな21歳が同じ試練を味わうことになる。 初日から単独首位を突っ走るジョーダン・スピースは、第2ラウンド終了時の最少ストローク記録「130」を樹立し、ムービングデーには第3ラ...
2015/09/20GDOEYE

石川遼と「原点回帰」 1年2カ月ぶり勝利への紆余曲折

石川遼が“再びの原点回帰”で通算12勝目を奪い去った。主戦場の米国から一時帰国し、今季の国内ツアー初戦となった「ANAオープン」。4日間ただひとり60台を記録し、通算16アンダーで後続に2打差をつける完勝だった。 両サイドに木々がそびえ、粘り気のある深いラフが待ち受ける札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース。レパートリーのある攻め方を許容するコースで、石川は1Wを振り続けた。最終日は実に、パー3を除く全14ホール。今大会の初日の17日に24歳の誕生日を迎えたが、まるで10代当時を思い起こさせるような、アグレッシブな姿勢を保ち続けた。 「今週はチャレンジして、20オーバーで堂々と予選落ちしてもいいという気...
2015/07/26GDOEYE

バッバ・ワトソンとトロントのなんだか深い縁

「RBCカナディアンオープン」は例年、メジャーの「全英オープン」翌週の開催にも関わらずトッププレーヤーが多く出場する。米ツアーで活躍する複数の選手がRBC(ロイヤルバンク・オブ・カナダ)と契約を結んでおり、ジム・フューリックやマット・クーチャー、グレーム・マクドウェル(北アイルランド)、ルーク・ドナルド(イングランド)らがスポンサーイベントで主役を張っている。 そんな中「僕はスポンサードされてないけどね」と言うのはバッバ・ワトソン。彼は今年と同じトロント近郊のグレンアビーGCで開催された2013年大会以来、2年ぶりに参戦した。家族のルーツが、ここにあることが大きな理由だ。 元プロバスケットボー...
2015/07/21GDOEYE

全英を去ったもう一人のプロフェッショナル 74歳スターターがマイク置く

あの声はもう全英で響かない――。セントアンドリュース・オールドコースで開催された2015年のメジャー第3戦「全英オープン」。長きにわたり最古のトーナメントを陰で支えてきた一人の男が、その場を去った。アイバー・ロブソン氏、74歳。41年の間、1番ホールでティオフする選手たちを場内に紹介してきた名物スターターが、聖地でマイクを置いた。 27年ぶりに月曜日に持ち越された第4ラウンド。最終組がスタートする午後2時半、ラストコールの時刻だ。左手首の腕時計を見やり、ルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)に続いて名前を呼んだ。「アイルランド出身、ポール・ダン」――。冷たく舞う霧雨に紛れても、甲高く澄んだ声はス...
2015/05/12GDOEYE

過大評価? に対するファウラー流のカッコイイ答え方

ここまでカッコイイ勝ち方は、なかなかお目にかかれない。フロリダ州ジャクソンビルにあるTPCソーグラスで行われた「ザ・プレーヤーズ選手権」最終日、リッキー・ファウラーは上がり4ホールをバーディ(3)、イーグル(3)、バーディ(2)、バーディ(3)の計11ストロークで回ってプレーオフに進出し、その4ホール目の17番(パー3)で再びバーディを奪って、“第5のメジャー”と呼ばれるビッグタイトルを手に入れた。 有名な浮島グリーンの17番脇では、リッキーの母親リンと妹テイラーが歓声を上げて勝利を喜び、モデルで恋人のアレクシス・ランドックが歩み寄るとファウラーは抱きとめて優しい口づけ。付き合って9カ月という...
2015/03/10GDOEYE

世界ランク導入後初 日本の賞金王が「マスターズ」に出られない?

自力で「マスターズ」の出場権をつかむラストチャンスだった。昨季の日本ツアー賞金王の小田孔明は前週、フロリダ州で行われた「WGC キャデラック選手権」に挑んだが、通算16オーバーの68位タイ。出場前の世界ランク70位をランクアップさせることができず、オーガスタでプレーするための条件、開幕前週3月29日(日)付けの同ランク50位以内に入ることは絶望的となった。1カ月後の日本ツアー開幕まで、小田にはもう世界ランク対象競技への出場予定がないためだ。 すでに昨年末に発表の世界ランク上位50位が「マスターズ」出場を決めているが、小田はその時点でも世界56位とわずかに届かなかった。「そこで50位以内にもって...