2013年「マスターズ」 6人の優勝候補たち By Jaime Diaz
1997年 マスターズ
期間:04/10〜04/13 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
タイガー・ウッズ、18アンダーでマスターズを制す。年間グランドスラムへ向けての旅立ち
1997/04/14 09:00
帝王ニクラスの正統な後継者が誕生した!
初日はニック・ファルド、2日目はポール・エイジンガー、3日目はコリン・モンゴメリー。タイガーと回った選手は後遺症でみんな体調を(?)崩してしまう。
あの崩れないはずのファルドは翌日81を叩いて、あえなくオーガスタを去った。いや、グリーンジャケットをウッズに渡すために待機しなければならないはめに陥った。ガンを克服してカムバックし、米国人には好感をもたれているエージンガーは翌日77を叩いた。もちろん4日間で最悪のスコアだ。そしてモンゴメリーも最終日81。
「勝機? ハーフのスコアでよければ、オレにだってチャンスはあるよ」とコメントしていたコスタンチノ・ロッカは幸い最終日にウッズとプレーした。後遺症がいつあらわれるか、それは分からない。次の試合の初日に発病するのだろうか。もしなんともなければラッキーというものだろう。
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最終日、懐かしい名前が活躍した。トム・ワトソンもすっかり明るい表情になり、昔の若々しいトム・ソーヤーに戻ったかのように見えた。結局はパープレーに終わってしまったが、しかし16番で果敢にピンデッドを狙ってウォーターハザードにつかまるまでは、十分2位(タイガーを抜きに考えれば立派な1位!)の可能性があった。
トム・カイトも楽しませてくれた。この大ベテランがついに団子集団を抜け出して単独2位にまで上がるとは、予想だにしていなかった。同じ仲間に入れるのはかわいそうだが、フレッド・カプルスも素晴らしいプレーをした。今年のマスターズは、真に実力のある選手と、絶好調売り出し中の選手が活躍した試合だったと思う。もし遙か上空を舞っているウッズさえ度外視できたなら、ベテラン・若手の抜きつ抜かれつのシーソーゲームを存分に楽しむことができただろう。
グランドスラムが実現するか
しかし、もちろん遙か前方を走っていたのはタイガー・ウッズだ。ちょっと歯車が狂いかかったかなという印象はあったが、だからといって簡単にボギーにはしない。アウトを36に抑えた時点で、きっとリラックスできたのだと思う。あとはお決まりの11番でスコアをひとつ沈め、13番ロングも計算どおりのバーディ。いや、計算としてはイーグルのはずだったのかな。
タイガー・ウッズはジャック・ニクラス後継者として見られている。帝王の嫡男だ。父ニクラスのあらゆる記録を塗り替えて、これから新しい帝王として君臨していく。まだ21歳と若すぎる感じはあるが、しかし名実ともに王子であることに疑いはない。トム・ワトソンの登場したときも、若いバレステロスが力づくでオーガスタをねじ伏せたときも、新しい帝王誕生かと騒がれたことは事実だ。しかし今回のタイガーは、ちょっと衝撃のケタが違っている。
これからの課題はメジャー制覇。残る3つ、つまり全米オープン、全英オープン、そして全米プロを同じ1年に制覇すること。あのニクラスでさえ達成できなかったグランドスラムを達成することだろう。
もちろんコースコンディションは、マスターズと全米オープンはまったく違う。全英オープンもまた違う。ラフはサディスティックに深く、風は吹きすさび、コース管理者はウッズ対策のバンカーやラフ育成にもう頭を悩ませているに違いない。それでもウッズは軽々とやってしまうかも知れない・・そんな気がしてくる今年のマスターズだった。
タイガーが塗り替えたレコードは
・最年少勝利・・21歳3カ月
(これまではバレステロスの23歳)
・最小スコア・・18アンダー
(これまではニクラス、フロイドの17アンダー)
・最大差の勝利・2位に12打差
(これまではニクラスの9打差)
他にも探せばいろんな記録が出てくるかもしれない。ちなみに2位カイトとの差12というのは、4大メジャーでは1862年、トム・モリス・シニアが全英オープンで樹立した13打差に次ぐ大記録。130年の歴史を超えて、圧倒的な強さを誇る突出した選手が登場したということなのだろうか。
(現地特派・カリーナ大山 4/13)
<タイガー・ウッズのドラマチック第4ラウンド>
フロント9は2つのボギー。しかしロングホールでしっかりバーディを稼いでパープレー。
ちょっと固くなった印象もあったウッズだが11番のバーディをとってからは笑顔がこぼれた
バック9はボギーなしの33。トータル18アンダー。文句なしの完全優勝。
圧倒的な強さを印象づけたマスターズだった。