【進藤キャディ解説】ウッズの名場面を演出 オーガスタ16番の緊張感
2019年 AT&Tバイロン・ネルソン選手権
期間:05/09〜05/12 場所:トリニティフォレストGC(テキサス州)
終盤の難関パー3 “オーガスタ並み”の傾斜を読め
トリニティフォレストGC 17番パー3(215yd)
1944年に始まった「AT&Tバイロン・ネルソン」はテキサス州ダラスで行われる伝統のトーナメント。2018年から会場をトリニティフォレストGCに移して開催されています。14年にできたばかりのコースですが、米国内では一風変わったリンクスを思わせるつくりで、これまでの会場とは一線を画すものになりました。
終盤の17番(パー3)は215ydとしっかり距離があるだけでなく、難しさがふんだんに詰まっています。ティから2ydとわずかに打ち上げのホールの特徴は、何といってもグリーンの傾斜の大きさにあります。
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まずはフロントエッジの少し手前から、グリーンになだれ込むように下るひとつ目の傾斜があります。カップがグリーン手前に切られた時は、このラインを使って寄せていくのが理想ですが、風の向きと強さでジャッジが大変悩ましくなります。
ふたつ目の傾斜は、このコースで一番大きいといっても過言ではありません。グリーン中央部分を左右に走る壁のような山があります。ここから前後に流れる傾斜は「マスターズ」会場のオーガスタナショナルGCのグリーンに引けを取りません。ティショットではピンの位置によって、この山を越えるか、越えないかでパットの難易度が天と地ほど変わってくるでしょう。
グリーンのバックエッジも壁のように盛り上がっており、ショットが万が一この“最後の砦”を越えてしまい、グリーンオーバーすると、大きなトラブルになる可能性があります。
波を打つように設けられたこれほどの傾斜ですから、パッティングはもちろん注目すべきポイントです。昨年大会で松山英樹選手は2日目に下りのスネークラインを鮮やかに沈めてバーディを決め、このパットがショット・オブ・ザ・ウィークに選出されました。当日のスポーツ番組では他競技も含めたスーパープレー10傑にも入ったんですよ。
優勝スコアは晴天が続けば、通算20アンダー近いのではないでしょうか。トリニティフォレストGCはダラスエリアの超がつくほどのプライベートコースのひとつです。木がなく、グリーン周りもラフがほとんどありません。アダム・スコット選手(オーストラリア)は「今週はフェアウェイからのアプローチと、バンカーショットの練習だけで大丈夫!」と話していたほどです。
そうであるからこそ、グリーンやその周辺の形状をしっかり把握しておく必要があります。ピンプレースによって”寄る場所”、”寄らない場所”の差が顕著になるので、マネジメントによってスコアに大きな差が出るはずです。(解説・進藤大典)
- 進藤大典(しんどう・だいすけ)
- 1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。