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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

テキサスの風と勝負 マッチの流れを左右する危険なパー5

■オースティンCC 12番パー5(578yd)

フロリダシリーズを終えて、ツアーはテキサス州に移動します。4月のメジャー初戦「マスターズ」まではあと2週。トップクラスの選手たちが世界選手権という大舞台でマッチプレー戦を繰り広げます。

テキサス州にあるオースティンCCは毎日と言っていいほど、強風が吹き荒れます。風向きも強さも一定でないのでその都度、冷静な判断が必要。今回注目するのはコロラド川に近く、その風の影響も受けやすい12番です。マッチプレーは最終18番までに勝負が決まることも多く、だからこそバックナインに入った直後の流れが重要になります。このパー5は、バーディはもちろんイーグルも出ますが、ボギーの危険性も十分はらんでいて、とてもエキサイティングなホールと言えます。

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ティからは21ydも打ち下ろすため、強いフォローの風が吹いたときは、飛ばし屋は中央のラフを越えて“向こう”のフェアウェイまで到達することもあります。残りは200ydを切って、もちろん2オンが可能。ただし、残り70yd地点から左サイドに川が入り組んできます。グリーンは横幅が広いところでも20ydしかない縦長の形状。乗せるのは至難の業です。

グリーン付近までボールを運んだとしても、3打目が難しいのがこのパー5の特徴。複数の面があるグリーンはまず右サイドのコブが大きく、さらに右からのアプローチをしたときはボールがそのまま傾斜を下って川に入ってしまうこともあります。手前から奥に向かって下っているエリアもあるため、短い距離でも1打のミスが大きく響いてしまいます。

1マッチは“3ダウン”まで取られても、残りホール次第で十分に逆転が可能だと考えています。もちろん同じだけリードがあっても油断できないという意味です。スコアが動くこの12番で流れを手放すのか、あるいは引き寄せるのか。優位な立場から一気に劣勢になることもあるでしょう。様々な思惑が1ショットごとに飛び交うのがマッチプレーの醍醐味です。

今大会は全選手が最初の3日間で総当たりのグループステージを戦い、各組1位だけが決勝トーナメントに進みます。最終日まで残ると、5日間で7ラウンドしなければなりません。息をつく暇もなく、ストロークプレーの最終日最終組で優勝争いを毎日している状態と言ってもいいくらい。体力もさることながら、精神力、技術力に加え、選手同士の駆け引きや運といった総合力を試されるフォーマットと言えるでしょう。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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