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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

“本命”が今季初優勝 ジョン・ラームのすごさとは/進藤大典キャディ解説

ジョン・ラーム(スペイン)が「メキシコオープン」で今季初優勝を飾りました。6シーズン連続の勝利でツアー通算7勝目。DPワールドツアー(欧州ツアー)6勝、ツアー外の2018年「ヒーローワールドチャレンジ」を含めても、初日から首位を守る完全優勝は意外なことにキャリア初でした。

PGAツアーの公式サイトでは、試合ごとに優勝候補予想「パワーランキング」が公開されています。この大会で1番手に推されていたのがラーム。昨年9月に始まった2021-22年シーズン28試合目(対抗戦、ツアー外競技は除く)にして、V候補筆頭の“初勝利”でもありました。世界中から才能が集まる最高峰の舞台。全盛期のタイガー・ウッズは別格として、トップランカーでも勝ち切るのは容易ではないのです。

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ちなみに、ラームがパワーランキング1番手に入ったのは今季5度目。これは全選手の中で最も多い数字ですから、それだけあらゆるコースで実力を発揮するオールラウンダーと評価されている証拠でしょう。

僕が解説の仕事もするようになり、特に彼が世界ランキング1位に上り詰めたタイミングから「ラームのすごさは何ですか?」といった質問をされることが増えました。ロープ内外で見ていて驚かされるのは、世界トップクラスのフェードヒッターとして君臨する安定したショット力、そして恐ろしいほどに冷静なマネジメントです。

ようやく1勝目と思われがちかもしれませんが、パー4とパー5のティショットのスコア貢献度を示す「ストロークゲインド・オフ・ザ・ティ」は今季ツアーナンバーワン。初めてフル参戦した16-17年シーズンから昨季まで、同スタッツは3位→2位→5位→4位→2位とトップ5を外したことがありません。

マネジメントの鉄則としては「ティショットを曲げてはいけない方向に曲げない」「グリーン周りの外してはいけないところに外さない」「アプローチも確実な打ち方を選択してリスクを減らす」などが挙げられます。

言葉にするのは簡単ですが、彼らがプレーしているのは世界一レベルの高いPGAツアー。今回がメキシコだったように、週ごとに気候も芝質も異なるコースにアジャストしてかなければいけませんし、自分自身の状態にも波があります。その中で安定してゲームを作れるのが本当にうまい選手。後続と1打差の優勝でも、その1打には大きな差があるように感じました。弟がラームの母校であるアリゾナ州立大のコーチを務めていた関係で早くから存在を知っていたフィル・ミケルソンが、プロデビュー前から世界ランクトップ10に入ってくることを確信していたという逸話もうなずけますね。

世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが制した「マスターズ」の後も、ジョーダン・スピース、ダブルス戦優勝のパトリック・カントレーザンダー・シャウフェレ、そしてラームと実力者たちが2週後の「全米プロゴルフ選手権」(オクラホマ州サザンヒルズCC)に向けて勢いをつけるようにタイトルをつかんでいます。マスターズに続くウッズの参戦、昨年覇者ミケルソンのツアー復帰もうわさされるメジャー第2戦が、がぜん楽しみになってきました。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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