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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

色あせない2013年「全米オープン」 ビリー・ホーシェルは“超ポジティブ”

松山英樹選手のプロ入り後初の海外遠征となった、2013年「全米オープン」予選ラウンドのことです。舞台はメリオンGC。ビリー・ホーシェルジョーダン・スピースとの若手注目株3人のペアリングでした。

ホーシェルはその年の「チューリッヒクラシック」で初優勝を飾ったばかり。フロリダ大でもトップアマチュアとして鳴らした素晴らしい選手とは聞いていましたが、実際のプレーは想像以上。アイアンショットの衝撃は、いまも脳裏に焼き付いています。

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ターゲットに向かって、めくれ上がるようなスピンの利いたショットを繰り出すボールストライカー。アスファルトのような硬いグリーンにだってボールを止めてしまうのではないかと思うほどでした。予選36ホールを終えて首位。その名前をしっかりと刻み込んで日本へ帰りました。

翌年からPGAツアーに本格参戦した後も練習ラウンドを一緒に回る機会が何度かありました。とにかく思い切りが良く、超が付くほどのポジティブ思考。

「あのビリーでもこんなことがあるのか」と思うくらいショットが曲がっていた日のこと。打つたびにコーチと入念なチェックを重ね、1球目でミスしても、2球目には必ずいい球を打っていました。「きょうは練習ラウンドだから。打ち直しのたびにいい球が出ているし、あすからの本戦は絶対いいぞ!」と満足げでした。

それが強がりではなく、心からそう思っているように楽しそうにプレーするのです。はた目には調子が悪くても、笑顔を絶やさない天性の明るさ。気持ちのいいナイスガイですから、練習ラウンドの雰囲気が悪くならないようにと同組選手への配慮もあったかもしれません。

優勝した「WGCデルテクノロジーズ マッチプレー」でも随所に“らしさ”を感じました。大会を通じて、対戦相手が結構な距離のパットを残していても「OK」を連発。「勝負師としてはどうなの?」と現地でも度々議論を呼んでいたようです。

しかし、彼は相手のミスに期待せず、自分がいいプレーをして勝ちたいというタイプ。ホールごとに気持ちの切り替えが必要なマッチプレーを戦う上でのホーシェルなりの工夫でもあるのでしょう。

マッチプレーは、展開によって1試合で2、3ラウンド分のスタミナを消耗した気分にもなります。それが7試合の長丁場となれば、決勝戦はまさにギリギリの戦い。スコッティ・シェフラーと2人合わせてバーディがひとつだけというファイナルのガマン比べを制することができた裏には、タフな状況を笑い飛ばせる持ち前のポジティブさがあったと思います。

ツアー6勝目。優勝会見では「あと5勝して2ケタ優勝に乗せたいと言ってきたんだ。それが4大メジャーとプレーヤーズ選手権になれば最高」とひそかに抱いていた野望を口にしました。「メジャーでトップ5に入ったことは一度しかないから、こんなことを言うと馬鹿げていると思われるかもしれないけど、自分にも可能性はあると思っている」とも。やはり前向きです。

ホーシェルのメジャー唯一のトップ5こそ13年「全米オープン」。8年前の鮮烈なプレーを目撃した一人として、ホーシェルの壮大なチャレンジを応援しています。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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