美しきペブルビーチの魅力/ゴルフ写真家・宮本卓
2020年 AT&Tペブルビーチプロアマ
期間:02/06〜02/09 場所:ペブルビーチGL ほか(カリフォルニア州)
美しく、そして難しい 帝王が愛したペブルビーチの崖越えショット
ペブルビーチGL 8番パー4 (418yd)
「生涯最後のショットをするなら、ペブルビーチ8番のセカンドショットを迷わず選ぶだろう」
“帝王”ジャック・ニクラスは、かつてこんな言葉を残したそうです。開場100周年となった昨年、6度目となる「全米オープン」が開催されたペブルビーチGL。今週はトップアスリートや世界的セレブもカリフォルニア州のモントレー半島に集い、選手たちは4日間1人のアマチュアとチームを組んでプロアマ形式で戦います。2016年には東北福祉大で同級生だった岩田寛選手がフィル・ミケルソンと優勝争いを繰り広げ、僕も思い出深い大会です。
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昨年、初めて撮影の仕事で行きプレーしましたが、その感動を記していたら、いくらページがあっても足りません。それでは、ジャックが愛してやまない8番をチェックしていきましょう。
フェアウェイの落としどころが見えない打ち上げのつくりが、まずティショットの不安をあおります。258yd地点からは断崖絶壁。ただ、230yd地点からすでに下り傾斜が入っているのがポイントです。海に吸い込まれるリスクを避けるため、多くの選手は170yd地点にレイアップします。
崖越えのセカンドは、グリーン左手前の花道から攻めていくのがセオリー。その花道も、少しでも弱ければ20ydほど戻されてしまいます。嫌がって奥に外すと、上からの傾斜が強く、絶対に寄せられません。右手前のバンカーからパーを拾うのも至難の業です。カップを切れる位置こそ限られていますが、わずか9ydの縦幅を狙って打っていかなければいけません。本当に完璧なフェードボールを打てた選手だけが、グリーンオンしてバーディパットを打てるのです。
右手に広がるオーシャンビューと奥にそびえる山々。雄大な自然のコントラストに身を震わせながら、究極の一打を放つ―。ジャックの心をとらえて離さないゴルフの真髄が、ここにあります。(解説・進藤大典)
- 進藤大典(しんどう・だいすけ)
- 1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。