2013年 マスターズ

【WORLD】“解読不能”B.ワトソン/マスターズプレビュー

2013/04/10 10:44

Golf World(2013年4月8日号)texted by E.Michael Johnson

大会連覇がかかるB.ワトソン。常人にはない魅力が詰まっている(Mike Ehrmann/Getty Images)

バッバ・ワトソンは大きくて難解なパズルのようで、その構造は昨年のマスターズで彼が攻略したオーガスタナショナルよりも複雑だ。それでも彼からは、懐かしのテレビショー“To Tell The Truth”を彷彿とさせる一面が多々見られる。「本物のバッバ・ワトソンさん、さぁお立ちください!」。グリーンジャケットを身に纏ったワトソンはマスターズの授賞式から数週間後、自分について「あなたが今話している男は間抜けで、頭の中が混乱しているような男ですよ」、「僕は他の誰よりも異なる人間ですから」と語っていたのだ。

バッバという名前からは、たいていの場合お人好しな印象を受けるが、彼の場合は矛盾に満ち溢れている。時に呑気で、時にずけずけと物を言い、気難しく、コミュニケーションを取るのも難しい人間になる。インタビューの最中には生意気な一面と、謙遜する一面とが交錯するのが見て取れるだろう。注目されることは好き。けれど、期待されるのは嫌いなのだという。

そのパズルが解ける場所は、往々にしてコース上でのこと。一昔前のスポーツのように、ワトソンはゴルフを自己流で学び、ボールに対するアプローチも他人とは異なる。誰よりも遠くに飛ばし、誰よりもボールを曲げることができる。スポーツは入り組んだ数学の方程式のようで、答えに導く為には特定の1つの公式を用いなければならない。だがワトソンは、ごく限られた人間にしか備わっていない直観と予測不能なフィーリングを頼りに問題を解いていく。故に、凡人は彼を妬む。

「彼の想像力は素晴らしいんだ」とはワトソンの親友アーロン・バデリーの言葉。「まるでコース上で絵を描いているみたい。頭の中には明確な何かがあって、それを具現化できる男だから。40ヤードのフックだったり、30ヤードのスライスを打つ時だってある。他人には見えていないものを見ていて、やってのけるんです。スイングを心配するよりも、プレーを楽しんでいるという印象だね」と続けた。

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