2012年 ライダーカップ

【WORLD】欧州選抜の強さの秘密とは/ライダーカップ

2012/09/26 18:09

Golf World(2012年9月17日号) texted by Cart Sumpson

大会で目にしたことを更に深く理解する為、私は大会ディレクターのホセ・マリア・ザモラ氏に取材願いを申し出、カート駐車場の横にある彼のオフィスを訪ねた。チャーミングなザモラ氏はPGAと欧州ツアーはグリーンの速さ、それに芝の長さという環境条件を近く設定するのを目標にすべきと話したが、アフリカ、アジア、オーストラリア、欧州各国、それから中東でも大会を開催する為、基準設定が極めて複雑であると語ってくれた。「アメリカでは気候条件が似ているから良いでしょうが、我々にとっては基準を統一するのは複雑です。とてつもない悪天候に襲われることもありますから。例えば、クランシュルシエール(スイス)では8月に雪が降ったこともあったんです」。

仕事熱心なヨーロッパツアープロは、必ずその日の出来事を話し合う相手が必要だ。PGAツアー参加のプロは子供や妻とフレンドリーだが、彼らは家族ですら帯同しない。その点、欧州のプロは仲間と共に夕食を取り、あれやこれやと会話を弾ませる。ザモラ氏は「ギリシャではラムを食べたし、イタリアではパスタ、スコットランドではビーフ、それにスペインではタパスとハモン。こちら(欧州)では食卓を4、5人と囲むのは普通のことなんです。(マーティン)・カイマーのベストフレンドはスペインのアルバロ・キロスで、彼らは毎日夕食を共にしている」と教えてくれた。

ジャスティン・ローズはベスト16でニコラス・コルサーツに敗れたが、敗戦後のインタビューで、勝敗が出た後こそ真の友情が芽生えると話してくれた。アメリカでもシーアイランド、レイク・ノナ周辺に住んでいるご近所さんはいるだろうが、最終的には皆、自分中心なのではないだろうか?

もし出来ることなら、イアン・ポールターグレーム・マクドウェルが食事を共にしてライダーカップ勝利の為の準備をしているところを見てみたいが、きっと家にすら入れてはくれないだろう。

PGAツアーには、アイバ―・ロブソンに匹敵する存在はいない。白髪のテナーは、毎年「全英オープン」で最初にスタートする選手の名前をアナウンスしている有名な人物で、欧州ツアーでも同様の役割を担当している。しかしフィンカコルテシンでは平塚哲二という発音に苦しみ、そしてラファエル・カブレラベロー(スペイン・マスパロマス出身)と発音する際には1、2つ音節を飛ばしていた。

セニョール・カブレラベローのプレーを見ていた際にも、私にとっては対応が難しいと感じる出来事があった。アメリカではプレス席での応援は厳禁だが、準々決勝進出がかかったロバート・カールソンとの対戦、タイで迎えたホールでカブレラベローがバンカーに捕まった瞬間、テレビモニターにはメディアセンターが怒号で溢れ返っている姿が映し出された。その後、地元の選手が準々決勝進出を決めるパットが入ると、一転して大歓声が起こり、記者会見も陽気なスペイン語で溢れた。

あまりにもうるさいので、私は騒音をかき消すように英語でカブレラベローに質問。ライダーカップのメンバーに入る可能性を今後も考えるか尋ねると、「そうなればと思うけれど、そこまでプレッシャーにはならない」という答えが返ってきた。

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