2012年 ライダーカップ

【WORLD】欧州選抜の強さの秘密とは/ライダーカップ

2012/09/26 18:09

Golf World(2012年9月17日号) texted by Cart Sumpson

2010年大会を制した欧州選抜メンバー。彼らの強さ、欧州ツアーの強みとは何なのか?(Andy Lyons/Getty Images)

前回2010年の「ライダーカップ」でヨーロッパ代表が勝利した瞬間、1985年以降の大会でヨーロッパ勢がアメリカ代表の2倍勝っているという統計を無視することはできなくなった。

しかしながら、なぜヨーロッパ勢が直近13大会中8大会で勝利し、アメリカが4大会でしか勝っていないのかは明白だ (1989年大会は引き分け)。誰もがその理由を知っている。プレーヤー、解説者も、ここ何年も前から同じことを声とペンで主張し続けてきた。ヨーロッパがより優れた選手を生み出しているのではなく、よりレベルの高いツアーが存在するからに他ならない。

よりレベルの高いという意味は、アメリカよりもリーグのレベルが等しく高いということ。世界共通の認識として知られている、厳しい欧州ツアーに参戦している選手達の間には、兄弟のような絆が生まれている。それこそ犬の散歩の仕方からバーでのジョーク指導、クアラルンプールでクローナ(スウェーデンの通貨)からリンギット(マレーシアの通貨)に換金する方法、そして翌週には天津で青島ビールを手に祝勝会を開いているという具合にだ。経験豊富な選手達の間に国境を超えた信頼関係、仲間意識があるからこそ、ライダーカップでのマッチプレーになった瞬間、恐ろしいまでのチームワークを発揮する。

とはいえヨーロッパ勢が強いのは、本当にそんな単純な理由なのだろうか?今回の調査にあたり、私はヨーロッパツアーイベントに潜入。オハイオ州のアクロン、テキサス州のアービングで開催されるトーナメントと何がそこまで違うかを確認するためだ。スペインのサウスコースト滞在最終日、私はエステポナにある警察署の暗い待合室で、ようやく自分の目で見てきたことをじっくりと考える時間にありつけた。

スペインのフィンカコルテシン・リゾートで開催された「ボルボワールドマッチプレー選手権」は、欧州男子ツアー19戦目、そしてボルボがスポンサーの3番目の大会。かつてビュイックがPGAツアーの顔だったように、ボルボは現在欧州ツアーの顔として存在している。スウェーデンの自動車メーカーはツアーのネーミングライツを1988年に取得し、専有権維持のため8年にも渡り資金面でサポートしてきた。

私の頭は時差ボケと慣れない土地、しかも距離表示がスペインとアメリカで大分異なる為に混乱しながら、マラガの空港からアルバイトリゾートにある宿泊先まで90kmをドライブ。非常に快適なコンドミニアムに、人工的なネットと芝、ティが備えつけられた練習場がついている。大会会場は、宿から5kmほどに位置し、そのまま上っていくと白壁が美しい高級ホテルが建っている。ホテルからは、岩に囲まれた渓谷にある極めて美しいゴルフコースを一望することが出来る。

そこからおよそ1マイル離れると地中海に反射する光がちらちらとみえる。美しくゴージャスなフィンカコルテシンは、コスタデルソル(別名スペインのマートルビーチ)の宝石とも呼ばれるが、使用されていないクレーンなどの重機が近隣の海岸に放置してある光景を見ると、この国の経済状況の悪化も感じざるを得ない。

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